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(you-side)
丈の短い袴をモチーフにした和風の衣装に身を包んで、髪を上げて、化粧も終えて。
既に始まっているオープニング映像に、歓声がここまで聴こえてくる。
トクン、トクン。
全身が心臓になったかのように煩くて、気持ちが高揚していく。
──ここにいる、すべての人に楽しんでもらえるように
ライブのときはいつも、掲げてきた目標。
ス「綾瀬さん、上がってください」
「はい」
オープニング映像が終わって。
1曲目が始まる。
「夜空に舞い散り行く桜」
熱いほどに感じる熱気とスポットライトの光。
「日が暮れて夜が明けて 幾千の年が過ぎて」
「今度は言葉を交わせたなら 言葉を交わし触れ合えたなら」
1曲目に上がったボルテージをそのままに、2曲目へと移る。
「ボロボロに泣く君に僕は とびっきりの笑顔を見せて」
「‘笑っていて’なんて格好つけた」
私が作った曲、‘花びら’と‘弱虫ヒーロー’。
AAAとして活動しながら、ソロでも何曲も作ってきた。
その中の2曲を歌って、3曲目。
「行くよファイナル!」
流れ出したイントロはAAAのMASK。
今日1番の歓声が溢れた。
その事に嬉しくなって辺りを見渡す。
関係者席にはAAAのメンバーと。
──お母さん、
無表情に私を見つめるお母さんと一瞬目があった気がして。
それでも今はライブだからすぐに客席に視線を戻す。
私が歌いやすいようにアレンジを加えたMASKを歌いきって。
衣装チェンジして、バラード曲を2曲歌い上げれば漸くMCに入る。
「改めまして……こんばんは、綾瀬詩です」
客席に頭を下げれば。
「あやちゃーん!!」
「可愛いーー!!」
「詩ーーー!!!」
客席から暖かい声が沢山聴こえてきて、笑顔を浮かべた。
「ファイナルですよファイナル。あっという間ですねぇ」
そう言えば、今度は「やだー!!」「終わらないでー!!」と私の言葉一つ一つにしっかりと反応してくれて。
「ありがとうー!!」
「!…私の方こそありがとう、ですよ」
聞こえた感謝の言葉に、照れ笑いを浮かべて返事した。
「初めてソロでツアーをして1番思ったのは、やっぱりメンバーがいるって、凄く心強いなって思って」
ソロも楽しいけど、ちょっと寂しいねって言えば。
「みんな来てる!!」
メンバーが来てることに気付いてたらしいファンの子達が声を上げた。
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海(プロフ) - くみさん» ありがとうございます!楽しんで頂けて、とても嬉しいです♪しかもかなり長かった筈なのに一気読みして頂いたとは…!本当にありがとうございます!マイペース更新ですが、これからも精一杯頑張りたいと思いますので、よろしくお願い致しますm(__)m (2019年6月22日 8時) (レス) id: 00727ba42b (このIDを非表示/違反報告)
くみ(プロフ) - ものすごく楽しいです!!昨日から一気に読んでしまいました!これからも楽しみにしてますね! (2019年6月21日 12時) (レス) id: 9ac3551b76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海 | 作成日時:2019年3月24日 19時