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(uno-side)


結局全員で詩の家に泊まる事になって。



詩と私の2人で晩御飯を作りながら、のんびりと話す。



宇「それにしても広いキッチンだね」


「うん、元は高倉家だけどね」


宇「大きい家だよねぇ。メンバー全員余裕で泊まれるって凄い…」



そこまで言って、ハッと気づく。




──この広い家でたった独り、


──思い出だけがつまったこの家で、詩は今1人で暮らしているんだ





「ふふ、こんなに賑やかなのは久しぶり」



私の様子を見てかどうかは分からないけれど、照れたようにはにかみながら詩が言う。



「皆さえ良ければ、こんな風にメンバー揃ってお泊まり会、たまにはやりたいな」


宇「…うん、そうだね」



トントンと包丁が材料を一定のリズムで刻む音を聞きながら。





宇「───あのね、詩に伝えたい事があるの」



本当は伝えるつもりがなかった、ある1つの事実を私は口にした。





宇「生前の高倉さんにね、ある話を聞いてたの」


「話?」



キョトンと手は止めないまま目を瞬かせる詩に、私は一瞬躊躇ったものの、それを告げる。



宇「詩のお母さん……綾瀬千弦さんの事」



トン、と等間隔だった音が乱れる。



「……」



完全に手を止めた詩はほんの少し強張った表情を浮かべていて。



──失敗した…?


やっぱり、言うべきではなかったのかもしれないと少し後悔しつつも。



──今の詩なら、


──……それに、詩には知る権利がある



覚悟を決めて、重い口を開いた。









.









───



月宮千弦と、高倉優子は幼馴染みだった。



いつでも穏やかな優子と、拘りが強くてまっすぐな千弦。



優子は昔から、いつでも幼馴染みの事を見守り続けていた。


才能を開花させ、歌姫とまで称されるほどのソプラノ歌手へと成長していった月宮千弦を。



声楽一筋で、優子以外には心も開かなかった千弦。



そんな彼女はある日、恋に落ちる。



綾瀬響(ヒビキ)、後に奏と詩の父親となる男である。



言葉数はあまり多くなく、だけど穏やかで控え目な笑顔は、千弦の心をいつでも落ち着かせた。



自然と惹かれ合った2人は結婚し、奏を授かった。



千弦は引退し、穏やかな毎日を家族3人で過ごしていた。



その平穏が崩れたのは。



2人目の子ども、詩が生まれた時だった。





ある日突然、前触れもなく。



響は姿を消したのだった。

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(プロフ) - くみさん» ありがとうございます!楽しんで頂けて、とても嬉しいです♪しかもかなり長かった筈なのに一気読みして頂いたとは…!本当にありがとうございます!マイペース更新ですが、これからも精一杯頑張りたいと思いますので、よろしくお願い致しますm(__)m (2019年6月22日 8時) (レス) id: 00727ba42b (このIDを非表示/違反報告)
くみ(プロフ) - ものすごく楽しいです!!昨日から一気に読んでしまいました!これからも楽しみにしてますね! (2019年6月21日 12時) (レス) id: 9ac3551b76 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年3月24日 19時

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