11 ページ12
(you-side)
結局あの後、ギクシャクとした雰囲気は戻らないまま打ち合わせは終わって。
家に帰ってきた私は、高倉家の表札を一瞥してから、ポストを確認する。
「ん？」
入っていたのは白い封筒。
差出人も切手もなくて、きっと直接入れられたものなんだという事が分かったけど。
持ってみればやけに分厚い封筒に不思議に思いながらも、私は家に入った。
適当に夕飯を作って、食べて。お風呂に入って。
歌詞を書こうとしたけど、その前に少し忘れていた白い封筒を手に取る。
何だろう、と思いつつも中を覗いてみると。
「！…………、」
出てきた大量の写真に、思わず絶句する。
「何……これ…、」
それらは全て、私の写真だった。
家を出て仕事に向かうところや、事務所に入るところ、車に乗り込むところ、家の近くのスーパーで降りたところ、買い物をしているところまで。
「っ」
あまりにも気味が悪くて、写真を持つ手が震えてくる。
──こんなこと、するのは…
丁度頭に思い浮かべたとき、またも狙ったように電話が鳴って。
「……もしもし」
裕《やあ、お仕事お疲れ様。流石に封筒の中を見てくれた頃かなぁと思って、電話しちゃった》
何もかもお見通しだよ。
そんな風に言われてる気がして、心臓の鼓動が早鐘を打ち始める。
「っ何なんですか、一体…」
裕《だから俺は綾瀬ちゃんが好きなんだってば》
「だったらどうしてこんなこと！」
裕《同じこと、何度言えば分かるのかな？》
言ったでしょ、と真鍋さんはひどく愉しそうに告げる。
裕《壊しがいがある子が好きなんだって》
「っ」
裕《もし嫌になったらメンバーに助けを求めてみれば？ああ、でも今喧嘩中なんだっけ。他のメンバーも忙しそうだし、更に大変な事になりそうだね。それも面白そうだけど》
「っ仕事があるので、もう切ります」
通話を切る直前まで聴こえてきた彼の笑い声に寒気を覚えながらも。
写真を封筒に戻して、乱暴に投げ込むようにゴミ箱に捨てた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 244人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
海(プロフ) - くみさん» ありがとうございます！楽しんで頂けて、とても嬉しいです♪しかもかなり長かった筈なのに一気読みして頂いたとは…！本当にありがとうございます！マイペース更新ですが、これからも精一杯頑張りたいと思いますので、よろしくお願い致しますm(__)m (2019年6月22日 8時) (
レス) id: 00727ba42b (このIDを非表示/違反報告)
くみ(プロフ) - ものすごく楽しいです！！昨日から一気に読んでしまいました！これからも楽しみにしてますね！ (2019年6月21日 12時) (レス) id: 9ac3551b76 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：海 | 作成日時：2019年3月24日 19時
