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(you-side)
裕「前にも言ったよね。君達の絆って、強いとは思うけど案外脆いんじゃないって」
「真鍋さん……?」
裕「壊されたくないなら、少しくらいの代償は必要じゃない?」
特に俺にみたいな卑怯者は納得して引き下がれないんだよね、と。
嗤う真鍋さんが、歪んで見える。
裕「俺と付き合う気はない。メンバーを傷つけられるのは許せない。話を大事にして俺と争う気もない……じゃあ、綾瀬ちゃんには何が出来るの?」
「…………」
笑っているけど真鍋さんは本気だ。
話が公に出れば真鍋さんは芸能界にいることが出来なくなるかもしれないというのに。
……私が公にしたくないということを分かっているからこそ、脅しているのかもしれないけれど。
──私に差し出せるものは、
裕「じゃあ、さ。こういうのはどう?」
言葉に詰まった私に、真鍋さんはまた口を開いた。
裕「俺は今まで通り電話もメールもするから、必ず返すこと。仕事もあるだろうけど、その日中には返すこと。それから、俺にスケジュールを全部教えること」
「……え?」
裕「何も付き合えとは言わないよ。何か無理強いすると芸能界辞められたり、下手したら綾瀬ちゃん、自分の命も捨てそうだしね」
だからまずは、こんなものでどう?と微笑む彼に、背筋が凍った。
──だってそんなの、束縛されているようなものだ
裕「綾瀬ちゃん、君の判断で……君が大切にしているものに、大きな負担をかけることになるかもしれないよ」
──断るべきだ
──そう頭ではわかってる
もう、自分ではどうしようもない事。
私には、現状を悪化させる事しか出来ない事。
「……」
裕「どうする?」
勿論、誰かに相談するなんて事しないよね?
続けて言われれば、まるで呪いのようにその言葉が胸に刻まれる。
「……分かり、ました。真鍋さんの条件を呑みます」
間違っていると分かっているのに、もう抗う気力すら、私には残っていなかった。
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海(プロフ) - くみさん» ありがとうございます!楽しんで頂けて、とても嬉しいです♪しかもかなり長かった筈なのに一気読みして頂いたとは…!本当にありがとうございます!マイペース更新ですが、これからも精一杯頑張りたいと思いますので、よろしくお願い致しますm(__)m (2019年6月22日 8時) (レス) id: 00727ba42b (このIDを非表示/違反報告)
くみ(プロフ) - ものすごく楽しいです!!昨日から一気に読んでしまいました!これからも楽しみにしてますね! (2019年6月21日 12時) (レス) id: 9ac3551b76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海 | 作成日時:2019年3月24日 19時