淡恋 _ｱﾜｺｲ_ 【zm】 (ページ28)

今日:7 hit、昨日:4 hit、合計:4,565 hit

雪がにじゅうはっこページ28

『本当に、自分が嫌になる。初めてゾムが優羽さんの病院へお見舞いに行く時に、こんな自分は嫌だからって思って行っていいよって言ったのに。』

『私が、全部許したのに。ゾムは、私に毎回、聞いてきてくれてた。通うことになる時も、通ってええか？って』

『私が全部悪いの。いいよ、分かった、って許したのは私なの。ゾムは悪くないし、優羽さんが悪いわけでも、ご両親が悪いわけでもないの。誰も、悪くないの』

『私だけが悪いの。だから、今後悔しても遅いの』

へへ、と涙を流しながら笑うAを見てられなくてシャオロンが怒鳴る

「なんで、笑ってんねん！Aはいつもそうや。大丈夫大丈夫って！俺が心配しても、迷惑かけたくないからって平気なフリして！」

「お前は、悪くない！Aは悪くねーよ！」

「A、一理、おまえの言うとうりや。誰かが悪いわけちゃうねん。ゾムも優羽もご両親も、お前もな。Aも悪くないねん。誰も悪くないねんな。」

「Aは、ゾムは自分が二の次なのに私はいつも自分ばかりで嫌だとか言っとるけど、全くそんなことあらへんからな。」

「相手のことを考えてなければ、辛い時に大丈夫なんて言わへん。相手に迷惑をかけたくないとか、心配をかけたくないとか、思えへんよ。」

「Aは正しいと思うで。なんも悪いことしてへん。よく頑張ったな。」

ぽん、と頭にのせられた手にいつかのあたたかさを感じた。

よくゾムがやってくれていた。頭を撫でる仕草。
そんな感覚も淡く雪のように消えてしまった。

あの日降った大雪が、次の日には消えていたように。

誰も悪くない、私の恋は冷たくて、淡かった。