淡恋 _ｱﾜｺｲ_ 【zm】 (ページ15)

今日:2 hit、昨日:4 hit、合計:4,560 hit

雪がじゅうごこページ15

ｶﾁ､ｶﾁ､ｶﾁ、リビングに響き渡る時計の音を聞きながらAはゾムが来ることを待っていた。

連絡するのを忘れてしまっていたことを思い出したAは、シャオロンと話している途中にゾムに仕事が終わったと伝える文を既に送っていた。

あれから5時間が経とうとしている。ゾムが部屋を訪れる事はなく、送ったメッセージに既読すらついていない。

普段、仕事の後に夕飯を一緒に食べる時は、大体8時頃。

ゾムがいつもの夕飯の時間に姿を現すことは無かった

ひとり静かな部屋で唯一音を立てるそれを見ると針は11時をさそうとしていた。

シャオロンのおかげで幾分か晴れた心に霧のようなものがまたかかり始める

いや、彼が病院へ行くと言ったのはお昼頃だ。
さすがにもう病院は出ていて、ゾムに何かあったのではないかと思い始めた時、着信音がなった

Aは急いでスマホをとる。

『っ、もしもし！？ゾム？』

「……………」

『どうしたの、大丈夫？！なにかあったの？』

「……………」

少しだけ連絡をしてきたことに安心感を覚えつつ、向こうから電話をかけてきた割には反応が無いことに疑問を抱く

「…ｽﾞｯ…、ｯ」

画面越しにかすかに聞こえたその音でゾムが泣いていることを一瞬で察知する

『…ゾム、？』

「ｯ、…ｽﾞｽﾞｯ…は、ごめ、」

『とりあえず、うちおいで？』

そうゾムに伝えると少し間を開けてから彼がん、と答えたのを確認してから電話を切った。