淡恋 _ｱﾜｺｲ_ 【zm】 (ページ12)

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雪がじゅうにこページ12

ゾムは、優しい。自分のことなんかより相手のことを考える。だからこそ、前に言っていたように隠し事をしたくないと思っていてくれるのが伝わってくる。

その反面、私は自分が情けなくなった。

事故で入院している、しかも今すぐ来て欲しいと断られても頼んでくるということはかなりのものだったのだろう。元カノさんだって、望んでそんな事態になったわけでは決してないはずだ。

それなのに、嫌だと。行かないで欲しいと思ってしまう自分が酷く惨めに感じた。

それほど優しい彼が、少なくとも3年間は付き合っていた相手の事故と聞いて心配しないはずがないだろう。そこに、今はもう恋愛感情が無かったとしても。

それでもゾムは自分の不安より私の不安を優先させてくれているのだ。
それなのになぜ私は自分のことを考えているのだろう。

そう思っていると自然と口が開く。

『…行って、いいよ』

彼が電話の向こうで驚きをみせる
そして焦ったように言う。

「や、ちゃうねん。別に許可を貰いに電話したんちゃう。ただ俺がAに一応報告だけしときたかっただけやから。」

と。それに対し少し明るく返す。

『うん。分かってるよ！大丈夫。でも、ゾムが恋愛どうこうとかそういう問題じゃなく心配してるの知ってるから。』

そう言うとゾムが少しだけほっとしたように感じ、ズキリと胸が痛む

「…すまん。ありがとう、A。少しだけ様子見してくるな。」

そのあと、Aが好きやで。と呟き彼は電話を切った。