夢を夢で終わらせない (ページ10)

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Ryosuke kikuchi 三日目ページ10

あの夢を見た後、

色々考えてたら、

不思議なことが何個もあった。

一番最初に思ったのは、

どうして俺が

夢の中で呼んだ名前が

あの子の名前だと思ったのか。

自分でそう思って

自分で疑問に思うのも

変な話だと思う。

少し時間がたって、

冷静になってから考えてみると、

何の関係もないはずの

二つの夢を関連付けるのは

変なんじゃないかと

思った。

二つ目は、

Aという人と

一度もあったことがないというのに

夢の中で呼んだということ。

少しくらい記憶にある名前が

夢の中に出るもんなんじゃないかなあ

とか

理屈っぽく考えていた。

三つ目。

あの、Aという人のために

俺が異常なくらい

悲しんでいたということ。

あんなに悲しくなる夢は

今まで見たことがなかった。

33「はああああああぁぁぁぁ……」

6「どうした？

不調か？」

安部に話しかけられた。

流石に安部は

あの夢は見てないだろうと思い、

33「いやあ違う。

何でもない」

って返した。

変な夢についていろいろ考えすぎた

だけだった。

次、夢を見るときは

どんな夢を見るのかなあ

なんて考えていた。

真っ暗な中に立ってて、

女の子が一人

遠くに立ってた。

やっぱり俺の

直感が正しくて、

あの子の名前は

Aなんだろうか。

気になった。

同じ夢続きで

少しうんざりしていたけれど

今日はそこまででもなくて

というか、全くそういう気持ちはなくて、

ただただ、

あの子の名前が知りたかった。

走っても走っても

やっぱり近づけなかった。

遠くで女の子が振り向いたから

もうそろそろ夢が終わるんだ、

って思って

このまんまじゃ嫌だって

反射的に思って

走りながら

全速力で走りながら

「A！！！」

って、

まだあの子の名前だって

決まったわけじゃないのに

大声で叫んだ。

そうしたら

急に近づけるようになって

女の子の

驚いた顔が

見えた。

嬉しそうに、

悲しそうに、

驚く顔が。

そこで夢は終わった。