『ウラちゃんの目』【ウラタロス】 ページ9
「…ねえ」
「なに?」
ウラタロスは眼前でじっとこちらの目を見つめるAに声をかけた。
が、返ってきた疑問にどう返せばいいか思いつかず再び口を閉じた。
「オイ!お前ら何時までそうしてやがんだ!」
「モモタロスには関係なーい。ほっといて」
「あぁ!?見てる方の気持ちにもなりやがれ!」
目障りだと騒ぐモモタロスを他所にAはかれこれ30分ほどウラタロスの目を見つめていた。
何せ自分から女子に行動を起こすのは得意分野だがこうも純粋な目で、仮にも意中の人間に見つめられるのは苦手だった。
Aに見つめられ続けるウラタロスは自分の心がこうも乱れているのが察されないように平穏を保つのが必死だった。
「ねーね!Aちゃんさっきから何してるの?」
「ウラの目を見てる」
「踊る君を見てるみたいに言わないでくれる?」
リュウタロスがAの真似をしてウラタロスの目を見始めた。
純粋極まりない目が穢れたウラタロスの心にじわじわとダメージを与えていった。
「えーつまんない!なんでAちゃんこんなことしてんの?」
リュウタロスの疑問にやっとAはウラタロスから目を逸らした。
「いやね、ウラタロスはオレンジの目をしてるのに良太郎に憑く時は青い目をしているのなんでだろ〜って思って」
「確かに…」
ハナが納得したように頷いたが、ウラタロスはたかがそんな理由だったのかと内心肩を落とした。
「じゃあモモタロスもそうよね。イマジンだと黒いし」
「リュウタロちゃんも赤っぽいオレンジですね!」
「キンタロスは……目どこ?」
「ここにあるで」
ここやと指さす場所に目潰ししようとするリュウタロスを宥めながらウラタロスも考えた。
確かに今まで気にしたこと無かった。
「…じゃあなんでウラタロスばっか見てたんだよ」
モモタロスが不服そうに言った言葉にウラタロスはドキリと心臓が跳ねた。
えっとね、と綴るAの言葉を平静を保ちながら待った。
「なんかね、オレンジの方がすきだなーって」
「…えっ?」
まるで普段自分が言っているようなセリフに目から鱗が落ちた。
Aは照れくさそうに笑った。
「なんか、海の中にあるキレーな貝の色って感じで好き!」
「!」
その言葉にウラタロスははーっとため息をついて顔を手で覆った。
自分がこうも情けなく釣られるとは、余程この少女に惚れているらしい。
手から感じる熱はいつまでも冷めなかった。
「ほんと、物好きだよね」
捨て台詞のようにそう呟いた。
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フォンフォン(プロフ) - 千軒さん» コメントありがとうございますー!そう言ってくださると嬉しいですへへへ!私も不穏なお話好きなのでこんなのばっかになると思いますがこれからもどうぞよろしくお願いします!! (2019年9月28日 23時) (レス) id: 22691e9869 (このIDを非表示/違反報告)
千軒(プロフ) - エボルトさんの話ハッとするし、穏やかじゃない感じの終わり方控えめに言って大好きです…。ビルドミリしか知らない人間なのですがアホの子いっつもすごい楽しんで見てます! (2019年9月28日 22時) (レス) id: 6870d38bb4 (このIDを非表示/違反報告)
フォンフォン(プロフ) - リンさん» リン様!!大!変!!お待たせ致しました!!!本当に申し訳ないです…こんなアホみたいな作者ですけれど、また読んでくれると嬉しいです…よろしくお願いします! (2019年8月20日 22時) (レス) id: 22691e9869 (このIDを非表示/違反報告)
フォンフォン(プロフ) - 大食いさん» コメントありがとうございます!評判がよかったらまた書こうかな?と思っております!のんびりですけど、よろしくお願いします! (2019年8月20日 22時) (レス) id: 22691e9869 (このIDを非表示/違反報告)
大食い - はじめまして!しんご君成り代わり読ませて頂きました!いや…もう…可愛すぎて語彙力が溶けてしまいます。そしてショック受けるその他ライダー達が面白かったです!もし機会があればまたこの子のお話が読みたいと思いました! (2019年6月29日 18時) (レス) id: 8f2c7b8828 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フォンフォン | 作成日時:2019年1月16日 22時