『にほんご で はなそ』【ジーク】 ページ11
「…えっ何？そこ黙るとこ？」
突然沈黙したジークに焦った。
思い返しても何か気に触るようなことを言った覚えはない。
するとジークははぁーっとこれ見よがしにため息をついた。
「お前は真に鈍いな」
「はあ？」
見たことのないほど呆れたような目で見られて腹が立つ。
理不尽に罵られてせっかくの鍋の味が悪くなるじゃないか。
ジークはまたため息をついて食事に戻った。
それ以降何か私たちの間で会話することは無かった。
空になった鍋を片して再びテレビを見ていると突然ぶわっと辺りに雪のような白い羽が舞う。
驚いて瞬きしている間にいつの間にかコタツにいたジークが隣に腰掛けていた。
優雅に足を組むジークに一瞬目を奪われてしまった。
「A」
「えっ…？」
突然名前を呼ばれて驚いているとジークの長い指がする、と手の甲を撫でる。
先程洗い物をしたせいで冷えきった私の手を滑るジークの手から微かな温もりが伝わった。
普段のジークからは想像できない手つきに驚いて顔を上げるとエメラルドの目と目が合った。
すると手を撫でていた手がそっと私の頬に添えられる。
まるで繊細なものを撫でるような優しい手つきに何も言えずぽかんとしているといきなり額に鋭い衝撃が走った。
「いっ…たぁ！？」
「私の御前だ。腑抜け顔を晒すな」
強すぎるデコピンをかまされた私は額を抑えて蹲った。なんでよ。我女子ぞ？か弱い女の子ぞ？
意味もわからず理不尽な暴力にほんとに泣きそうになった。
「ッあんたって奴は…！顔に傷がついたらどうする！お嫁に行けなくなったらどうしてくれるー！」
やけくそになってぽすぽすとクッションを投げつけても余裕で交わすところ本当にムカつく。焼き鳥にしてやろうかしら。
「ふむ、その時は私が迎え入れてやろうか」
「あーそう！アンタが迎え……え？」
けろっと言い放った言葉に投げつける手を止めた途端私の顔面にクッションが返ってきた。
顔面で受け止めてひっくり返った私に投げつけた張本人ははっと笑い飛ばした。
「どうした。私を楽しませてくれるのではないのか」
「…人の乙女心を遊びやがって」
もうこの傍若無人、ワールドイズマインな鳥に何言ってもダメだ。
諦めて寝ようとクッションを片付ける私の後ろ姿をジークはじっと見つめていた。
「…私がここまで居心地良いと思うのはそなただけだ、A」
「なんか言ったー？」
ジークの言葉はテレビの声にかき消され聞き返すとまたクッションが飛んできた。解せぬ。
エボルトとアホの子 14→←『にほんご で はなそ』【ジーク】
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フォンフォン(プロフ) - 千軒さん» コメントありがとうございますー！そう言ってくださると嬉しいですへへへ！私も不穏なお話好きなのでこんなのばっかになると思いますがこれからもどうぞよろしくお願いします！！ (2019年9月28日 23時) (
レス) id: 22691e9869 (このIDを非表示/違反報告)
千軒(プロフ) - エボルトさんの話ハッとするし、穏やかじゃない感じの終わり方控えめに言って大好きです…。ビルドミリしか知らない人間なのですがアホの子いっつもすごい楽しんで見てます！ (2019年9月28日 22時) (レス) id: 6870d38bb4 (このIDを非表示/違反報告)
フォンフォン(プロフ) - リンさん» リン様！！大！変！！お待たせ致しました！！！本当に申し訳ないです…こんなアホみたいな作者ですけれど、また読んでくれると嬉しいです…よろしくお願いします！ (2019年8月20日 22時) (レス) id: 22691e9869 (このIDを非表示/違反報告)
フォンフォン(プロフ) - 大食いさん» コメントありがとうございます！評判がよかったらまた書こうかな？と思っております！のんびりですけど、よろしくお願いします！ (2019年8月20日 22時) (レス) id: 22691e9869 (このIDを非表示/違反報告)
大食い - はじめまして！しんご君成り代わり読ませて頂きました！いや…もう…可愛すぎて語彙力が溶けてしまいます。そしてショック受けるその他ライダー達が面白かったです！もし機会があればまたこの子のお話が読みたいと思いました！ (2019年6月29日 18時) (レス) id: 8f2c7b8828 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フォンフォン | 作成日時：2019年1月16日 22時
