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??? ページ28

「ようやく傍観者であることをやめたか」


時の砂の中を走る電車を遠くから眺める影はそう呟いた。
バタバタと吹く風にジャケットを揺らしながらデンライナーを見つめる。
その手には、黒いシルエットが映されたカードを持っていた。
影がじっとそれを見つめていると、後ろの時空が歪み、また別の影が洗われた。


「随分長かったね。こちらがどれだけ待ったと思ってるんだか」


その影はやれやれと首を振りながらもう1人の影に近づいた。
それを一瞥して、影は再びデンライナーに視線を向けた。


「そもそも俺らが手を出していいものじゃない。この世界の時間で進めばいい話だ」
「だからっていつまでも待つのも、退屈じゃないかい?」


影は手に持つ大型銃をくるりと回すと、もう1人の影の隣に立った。


「"世界の破壊者"とも言われる君が、悠長に待つとはね。そんなに記録点が大事かい?」
「……」


影は首から下げた二眼レフカメラを少し触った。
それは少し砂が被って、触るとザリザリと音を立てた。


「君がそこまで大事にするなら、アレはどれほどの宝なんだろうね」
「黙れ。例えお前でもあいつに手を出したらタダじゃ済まないからな」
「おお怖い怖い」


ギロりと影を睨みつけると、まいったと言うように両手を上げて遠くに行くデンライナーを見送った。
すると影がガチャンと音を立てて手元の銃をもう1人の影に突き付けた。


「でも忘れないでくれないかい、この世界の宝は全て僕のものだ。くれぐれも邪魔はしないでくれたまえ」
「お前こそ、俺の邪魔はするなよ」


お互いを睨みつけながら影は背を向ける。
そして、その歩みの先にはまた時空の歪みが発生し、影はその中に足を踏み入れた。
姿が消える寸前、顔を半分だけ振り返ると低い声でその名前を言った。


「道を間違えるなよ、"門矢士"」
「お前もだ、"海東大樹"」


背を向けたままお互いに言い放つと、とうとうその姿は時空の歪みの中へ消えていった。
その後には、ただ虹色の空と白い砂だけが残っていた。

「悲劇の復活カード・ゼロ!」 1話→←「クライマックス刑事(デカ)」 32話



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フォンフォン(プロフ) - 朱音さん» はい、見ましたよ。 (2018年12月26日 17時) (レス) id: 0273cd81dc (このIDを非表示/違反報告)
朱音 - あの、質問なんですが。 今、仮面ライダーの最新の映画やっていますよね?作者は見ましたか? (2018年12月26日 16時) (レス) id: 0b354d0f43 (このIDを非表示/違反報告)
フォンフォン(プロフ) - ぱずー@靖子乱舞さん» こちらこそ声掛けてくださってありがとうございます。めちゃんこ嬉しかったです。お互い頑張りましょうね! (2018年12月26日 0時) (レス) id: 0273cd81dc (このIDを非表示/違反報告)
ぱずー@靖子乱舞 - あっあっまさかご存知だったとは…(昇天)はい、ジオウの小説を書かせて頂いております。こう言うのはおこがましいかもなんですが、これからもお互い頑張りましょう。 (2018年12月25日 22時) (レス) id: e8b283460b (このIDを非表示/違反報告)
フォンフォン(プロフ) - ぱずー@靖子乱舞さん» そう言って下さるとすごく嬉しいです。ありがとうございます!あの、ぱずー様もジオウの小説書かれてましたよね?勘違いだったらごめんなさい…。のんびり進んでますが、これからもよろしくお願いします! (2018年12月25日 16時) (レス) id: 0273cd81dc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:フォンフォン | 作成日時:2018年11月26日 14時

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