マジおこじょろちゃん超怖い ページ31
「ちょっと!?なにこのキズ!!」
「いや、あの…」
酒呑童子と激戦を繰り広げた次の日。
私の家に乗り込んできた女郎蜘蛛は私の顔を見るなりギッと目を釣りあげて私の顔を片手で掴んだ。
顔をそのまま潰されるんじゃないかとひやひやしていると女郎蜘蛛は聞いたことの無い低い声を出した。
「…おい」
「はひ!?」
「これどうした」
地を這うような低い声に消えたオカマ口調に鋭い眼光。
文字通り蛇に睨まれた蛙というように何も言えずに固まっていると、外から影オロチが戻ってきたのかその手を引き剥がしてくれた。
「何をしている」
「…あ?」
影オロチが女郎蜘蛛の腕を掴みあげると女郎蜘蛛がギリ、と睨みつけた。
しばらく睨み合っていたが、ふっと女郎蜘蛛が目を逸らして顔を手を当て、深く息をついた。
「あー…ごめんなさい、頭に血が上ってたみたい」
「いや、大丈夫…」
女郎蜘蛛はいつも通りの笑顔を見せるとぽんぽんと頭を撫でてくれた。
「いい?嫁入り前の女の子の大事なお顔に傷作っちゃダメよ?」
「いや、これは不可抗力というか…」
「わかった?」
「アッハイ」
ガシッと力強い手に握られ釘を刺すように言われ思わず頷く。
そもそも酒呑童子が悪いのになぜこんなに私が怒られなければならないのか。解せぬ。
「じゃあせっかくだしアタシの薬試してみる〜?」
女郎蜘蛛がぱちんとウインクしながら言った言葉にゾッと寒気が走った。
確かに女郎蜘蛛の作った薬という物は、確かに効力はあるがれっきとした毒である。
前に女郎蜘蛛が作ったケーキを食べたミッチーが2週間ほど麻痺して動けなくなったことがある。
それ以来女郎蜘蛛の作るものには最大級の警戒をしていた。
そんな冷や汗ダラダラな私を見兼ねてか影オロチが助け舟を出してくれた。
「この程度なら俺の力で痕も残さず消せるが」
「え〜?つまんないの」
影オロチが私の傷に手を翳すとぽわっとその部分が温かくなった。
するとピリピリした痛みが消え、手で触ってみるとその傷はすっかり消えていた。
女郎蜘蛛は傷の無くなった私の頬を撫でると、すっと目を細めた。
「Aの肌は綺麗ね…きっと食べたらさぞ美味なのでしょうね」
「…おい」
影オロチが咎めると冗談よ、と綺麗な唇を三日月に歪めた。
そして私の唇に人差し指を当てると、妖艶に微笑んだ。
「アタシ、あの時Aの血は本当に美味しそうだと思ったのよ」
その時の女郎蜘蛛の目は、あの時対峙した彼女の色を滲ませていた。
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優(東方ガチ勢) - 凄く面白いです!ケースケの立ち位置に夢主を入れるのは考えたことがなかったです(笑)とても面白いしいい話なので、続きが出来たら更新して欲しいです! (2022年8月3日 15時) (レス) @page37 id: 14abcb2f13 (このIDを非表示/違反報告)
名無 - とても面白かったです。続きがあれば何時までも楽しみにしています。 (2021年3月23日 9時) (レス) id: cdf16b300a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フォンフォン | 作成日時:2020年10月12日 22時