命を食らう女郎蜘蛛 2 ページ4
「Aはここにいる人たちを助けてあげて」
「え、でも…」
「中は危険なの。お願い」
ナツメの真摯な眼差しに何も言えなくなった。
確かに妖怪ウォッチを持たない私は言ってしまえば足でまといなのだろう。
ついて行きたい気持ちを堪え、私は頷いた。
「じゃあ影オロチ連れてって。いいよね？」
「お前はどうなる」
「糸を剥がすぐらい大丈夫。お姉ちゃんの助けになってあげて」
影に潜んでいた影オロチにそう言うと、彼も渋々だが承知してくれた。
影オロチのアークを渡して遠のいていく背中にまたいつかの自己嫌悪が湧いてきたが、頭を振って一般人の救出へと向かった。
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ああは言ったものの、蜘蛛の糸は想像以上に固かった。
割れた窓の破片を使って地道に削って何人かを救出することができた。
しかし辺りには雁字搦めにされた人達がまだ沢山残っていた。
ふとガラスを握っている手を見ると、赤い血がぽたぽたと垂れていた。
「あちゃー…切っちゃってたかな」
どうやら作業に夢中で切れていたことに気づいてなかったみたいだった。
止血するためになにか手頃な布はないかと辺りを見回したとき、私のすぐ後ろからぞっとするような声が聞こえた。
「あら、美味しそうな血だねぇ」
「！？」
ばっと振り替えるとそこには頂上にいたはずの女郎蜘蛛がすぐそこでこちらを見下していた。
「アイツら生意気にも駆除しにくくてねぇ…ちょっと利用させてもらうよ！」
「利用…！？」
その言葉の意味に気づいてその場から逃げようと足を後ろに下げたが、何か糸のような物に引っかかった。
すると女郎蜘蛛は愉快そうにこちらを見た。
「馬鹿だねぇ、逃がすわけがないだろう！」
その時足に引っかかった糸から無数の蜘蛛の糸が放出され、私の体に巻きついた。
逃げようともがいたが粘着力のあるそれに腕も足もどんどん絡まれていきついに動けなくなってしまった。
「アハハ！無様だねえ！お前は誰の役にも立たず私の餌にされてしまうなんてねぇ！」
「っ…！」
まるで刺すような言葉に固まると女郎蜘蛛は私を捕らえた糸を持ち上げて私に顔を近づけた。
「可哀想な子…無力に喘いで努力しても堕ちる先は奈落の底…出来損ないは何しても出来損ないなんだねぇ」
「うるさい…！」
すると女郎蜘蛛はその笑みをさらに深めた。
「ああ、お前の魂は美味しそうだ」
その言葉と同時に私を縛っていた糸の力が急に強まり、そのまま意識を失った。
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優(東方ガチ勢) - 凄く面白いです！ケースケの立ち位置に夢主を入れるのは考えたことがなかったです(笑)とても面白いしいい話なので、続きが出来たら更新して欲しいです！ (2022年8月3日 15時) (
レス) @page37 id: 14abcb2f13 (このIDを非表示/違反報告)
名無 - とても面白かったです。続きがあれば何時までも楽しみにしています。 (2021年3月23日 9時) (レス) id: cdf16b300a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フォンフォン | 作成日時：2020年10月12日 22時
