検索窓
今日:13 hit、昨日:6 hit、合計:129,431 hit

「俺、参上!」 1話 ページ3

高校の帰りを自転車で漕ぐ。
頬に当たる冬の風が少し痛かったが、構わず速度を上げた。


「ううっ…やっぱり寒い」


またやってきた、いつもの冬。
寒くて外に出たくないけど、布団があったかい冬。


毎年味わってるいつもの冬、のはずだった。
なぜか少し胸騒ぎがして早く家に帰りたかった。
信号が赤になって、慌ててブレーキを踏む。


何かが起こる。


そう自分の何かが告げている。
これまでの日常が一変する何かが、おこりそうだ。


「特に、理由はないけれどね。」


信号が青に変わって、またペダルを踏み出そうとした時、
冬の風に乗って、電車の汽笛が聞こえた気がした。


思わず顔を空にあげた。
その空は相変わらず青い、と思った途端
黄色い、言ってしまえば花粉みたいなのが空に舞った。


「え?何あれ!」


ギョッとして目を擦ったが、もうそこにはただ青い空が広がっていただけだった。
気の所為、にしてはかなりリアルだった。


「気の所為にしておこう…」


でもやっぱり有り得ないな、と思った。
空に穴が開くなんて。
まるで良くないことの前兆みたい。


そこまでふと気になったのが、自分の親戚である野上良太郎だった。
彼、かなりの不幸体質だからきっと今ので事故を起こしちゃってたり…なんて。


「あっヤバ!」


信号がとっくに青になっている事を忘れてた。
慌てて漕ぎ出せば周りから不審な目で見られて、少し恥ずかしかった。


とにかく、早く家に帰ろうとしたその時


「…んだ?い…根性し…んじゃ…か」


立体交差点に差し掛かった時に、そんな声が聞こえてきた。
声からしてケンカだろうと思った。


「(関わらないのが1番…)」


そのまま通り過ぎようとしたら下から誰かが少年を引きずりながら出てきた。
さっき鈍い音がしたから殴られたのだろう。


ご愁傷さま…と心の中で手を合わせていると


「あれっ良太郎?」


どうもあの頼りない背中を見たことがあると思ったら、良太郎のようだった。


'いつも通り'彼は巻き込まれてしまったみたいだ。
けれど、集団に絡まれてしまったのはさすがに運が悪すぎる。


慌てて追いかけようとしたらガラの悪い集団はもう別の場所に行ってしまっていた


「嘘!待って!良太郎!」


自転車をUターンさせて見えなくなった背中を追いかけた

「俺、参上!」 2話→←設定



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (48 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
115人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

わー(プロフ) - 了解です!ありがとうございます! (2018年12月27日 22時) (レス) id: 8cf7868275 (このIDを非表示/違反報告)
フォンフォン(プロフ) - わーさん» もしモモタロスオチの小説をお求めでしたら、リンク先の短編小説の方に置いてありますのでそちらをご覧下さい。長くなりましたが、これからもよろしくお願いします! (2018年12月27日 21時) (レス) id: 0273cd81dc (このIDを非表示/違反報告)
フォンフォン(プロフ) - わーさん» コメントありがとうございます!大変申し訳ございませんが、オチのリクエストは受け付けていません。オチは未定とありますが、物語の流れ的にはオチはないです。誤解を招くような表現をしてすいません… (2018年12月27日 21時) (レス) id: 0273cd81dc (このIDを非表示/違反報告)
わー(プロフ) - オチはモモタロスでお願いします! (2018年12月27日 19時) (レス) id: 8cf7868275 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:フォンフォン | 作成日時:2018年8月19日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。