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(you-side)
断るべきだ。
直感がそう言ってるにも関わらず、私は断れなくて。
人気のないところで二人、向かい合っていた。
ミ「単刀直入に聞きます。九条先生は日高さんのどこを好きになったんですか?」
「え、?」
どこを、と問われると沢山あるけれど。
「……貴女に教える義理はないわ」
日高くん相手ならまだしも、彼女に伝えるつもりはない。
強く見返すと、ミリアさんは呆れたと言わんばかりに鼻で笑った。
ミ「私は言えますよ。日高さんの好きなとこ」
「……」
ミ「あら、気付いてたんですねっ!私が、日高さんが好きだって」
何も答えない私に、ミリアさんは続ける。
ミ「ラップの才能、日高さんには音楽に関わる人間が持つべき力を持ってる」
「だから何?」
そんなの、私だって知ってる。
彼が真摯に音楽に向き合ってる事。
音楽を愛し、音楽に愛されてる事。
ミ「まさか、日高さんを理解してるのは自分だって自惚れてませんよね?」
ドクン、と心臓の鼓動が1つ、大きく音を立てた。
ミ「九条先生に何がわかるんですか?医者なんてご立派な職業について、音楽とは無縁の貴女に」
「……、」
ミ「分かってるでしょう?住む世界が違うんですよ」
ミリアさんは懐から小さく折り畳んだ紙を出すと、私に押し付けた。
ミ「明日の晩、ここに来てください。逃げないでくださいよ?」
「……これは、」
ミ「日高さんの事、1番理解できて支えられるのは私だって、教えてあげます」
去っていったミリアさんをただ見送ることしかできなくて。
──彼女の言った事を気にする必要はない
──彼の恋人は、私なのに
頭では言い聞かせられるのに、それはどれも心まで響かなくて。
その動揺の原因は知ってる。
──心の何処かで、図星をつかれたと思っているから
そんな筈がない。
そう言い聞かせつつも、心のざわめきが落ち着かない。
手の中の紙を、クシャリと握り締めた。
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海(プロフ) - ハナリーンさん» ありがとうございます!黄色さんは勿論、九条先生も格好いい女性を目指してたので、嬉しいです。キュンキュンして頂けたのなら本当に幸いです!閲覧してくださり、ありがとうございました!! (2018年11月26日 19時) (レス) id: fc74eeea72 (このIDを非表示/違反報告)
ハナリーン(プロフ) - 九条先生もだっちゃんもすっごくかっこよかったです。キュンキュンしました! (2018年11月23日 1時) (レス) id: 33cb9575e2 (このIDを非表示/違反報告)
海(プロフ) - みどりまんさん» ありがとうございます!私の書く日高くんや終わり方を気に入って頂けて…嬉しいです!みつみさの電話は私もお気に入りなんです(笑)電話相手は誰にするか悩んだんですが、私の推しに出てもらいました(笑)ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました!! (2018年8月25日 19時) (レス) id: fc74eeea72 (このIDを非表示/違反報告)
みどりまん(プロフ) - 完結お疲れ様です!!一途な日高君、本当に読んでいて涙が出るくらい好きでした!終わり方が本当に素敵で素敵で、仕方ないです!!個人的には、最後のみつみさの電話の宇野ちゃんの一言がたまらなく好きです笑お疲れさまでした! (2018年8月25日 11時) (レス) id: 62c1352e89 (このIDを非表示/違反報告)
海(プロフ) - オーバーさん» ありがとうございます!私も一夜あけて、絶賛dramaロスです(笑)まだ詳細は決まってなく時期も未定ですが、いつか短編集でこっそり番外編を書けたらと思ってますので、ご縁があればそこでもお会いできたらなと思います。執筆中も激励を下さり、ありがとうございました! (2018年8月25日 10時) (レス) id: fc74eeea72 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海 | 作成日時:2018年6月28日 19時