〜HORIZON〜12th

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(itoーside)


與「うわぁ、かわええなぁ」


「ちっちゃーい」



寝ているベビーベッド内の我が子を、小声で話しながら覗き込んでいる真司郎と詩の後ろ姿が妙に笑えて。



伊「座って座って。珈琲淹れたから」


「ありがとう」


與「千晃も珈琲淹れれるようになったんか…」


伊「私を何だと思ってるのかな」



まだまだ忙しくはあるけど、折角だから赤ちゃんの顔を見にくるか聞いてみたら、2人が一緒に来てくれた。



「今、大変でしょ。ちゃんと眠れてる？」


伊「まあ、合間に少しずつね。2人こそドームツアー始まったし忙しいんじゃない？こんな時に呼んじゃってごめんね」


「それは大丈夫」


與「東京終わって2週間空くから、若干余裕もあるしな」



流石に赤ちゃんがいるからAAAのライブを見に行く事はできないけど。



SNSを見ていると、評判は窺える。



伊「詩のソロが凄い話題になってるよ。次は何の曲を歌うんだって予想合戦も始まってたし」


「あはは、次の公演は予想しても絶対当たらないよ」


伊「そうなの？AAAの曲でしょう？」



ドームツアー最終の地である福岡。


その1日目で歌うものは、また何か特別な事を考えてるらしいけど。



「当日のお楽しみ」


伊「私行けないから教えてよー」


與「ていうか俺らも知らんねんけど」


「メンバーはリハで聴けるでしょ。千晃は…また終わった後にSNSをチェックしてくれたら」


伊「えー」



一応公演内容のネタバレは禁止してるけど、今回みたいに毎回曲が変わっていれば、次は何の曲だろうと詩の話題はどうしてもSNS上にあがる。




気になって仕方ないけど、詩は意味深に笑みを浮かべるだけだった。



伊「見たかったなぁ…」


「DVD出たらあげるね」


伊「うん、楽しみにしてる」



フワリと控えめな笑みは詩らしいもの。



その笑顔が今は、少しだけ眩しくて。

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