13 ページ14
(nishijimaーside)
海外ということもあって、いつもより開放感溢れている。
夕暮れ時の海岸には、俺ら以外の人は見当たらなくて。
「気持ちいい…」
潮風を受けて、眩しそうに詩が目を細める。
丁度いい岩に腰掛けて、海を眺めれば、暫し時が止まったように静寂が続いた。
西「…初めて詩の歌声を聴いたとき、ビビッと来たんだ」
徐に口を開いた俺を見つめるのを気配で感じて。
西「もっとこの歌声を聴いていたい。この子と一緒に歌ってみたいって」
まるで雷に打たれたかのような。
そんな感覚だったかもしれない。
西「それは今でも変わらない。初めて会った時からずっと、俺は詩の歌声に誰よりも惚れ込んでる」
「……」
ぼんやりと。
ただ聞いてるだけの詩は反応がなくて。
西「でもそれ以上に、俺は綾瀬詩っていう1人の人間が好きなんだ」
でも、今はきっと。
その心にだって、ちゃんと届く気がした。
西「だから、詩が沢山悩んで選んだ決断なら、応援するし、俺に出来ることは何だってやる」
ぼんやりとしていた詩の瞳が、俺の顔をしっかりと捉えた。
西「治療を受けるのなら、その間AAAは俺が…いや、俺達が守っとく」
「…」
西「……もし、治療を受けたくないならそれでも良い」
限りなく低い可能性なのだとしたら。
これ以上、失うのが怖いのなら。
西「それならそれで、最後まで俺達と一緒に歌っていよう」
俺はその気持ちを無視してまで、強引に詩からAAAを、歌を取り上げたくはない。
大きく見開かれた目が、ほんの少し潤んだように見えて。
すぐに顔を伏せてしまった詩は、コテンと自身の頭を俺の肩に乗せる。
西「ん？」
ーー珍しい
滅多に甘えることのない彼女が俺に頭を預ける事は稀で。
どうした？と横目で見ると。
「お願いがあるの」
西「何？」
「…歌って」
海を見つめながら、詩はそう言った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 483人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
海(プロフ) - なみだあめ*さん» コメントありがとうございます！ある意味で期待を裏切る選択だったかもしれないですね（笑）続編も楽しんで頂けるように頑張りますので、お付き合い頂ければ嬉しいです！ (2020年12月5日 10時) (
レス) id: 37dc25736a (このIDを非表示/違反報告)
なみだあめ*(プロフ) - 意外な感じ…ほんとこのお話大好きです…！ (2020年12月3日 19時) (レス) id: a81ec2f152 (このIDを非表示/違反報告)
海(プロフ) - 心さん» 感想ありがとうございます！私も書きながら、胸がぎゅんとなる事があります（笑）ここから夢主達がどう歩んでいくのか、見守っていただけたら嬉しいです！ (2020年10月13日 20時) (レス) id: 37dc25736a (このIDを非表示/違反報告)
海(プロフ) - miyuさん» はじめまして！かなり長かったと思うのですが、ありがとうございます！お疲れ様です（笑）卒業編では誰がどう考えてるのか、凄く悩みつつ書いていたので、そう言って頂けて嬉しいです。マイペース更新となりますが、これからもよろしくお願い致します(^^) (2020年9月26日 18時) (レス) id: 37dc25736a (このIDを非表示/違反報告)
miyu - はじめまして！このお話1章から3日かけて読みました（笑）千晃ちゃんの卒業の所では泣きそうになりました（笑）AAAの絆はずっと繋がっていると思います。AAAとaオタさんとの絆もちゃんとあるんだと感じました。次の更新楽しみにしています！頑張ってください！ (2020年9月25日 20時) (レス) id: 522229740f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：海 | 作成日時：2020年8月4日 13時
