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(youーside)
年が明けて。
「城間樹(ｼﾛﾏｲﾂｷ)です。よろしくお願いします」
「高遠ひまりです。よろしくお願いします」
人生初のお見合い。
城間さんの第一印象は穏やかで、柔らかい声。
これまで生きてきて色んな人と関わってきたけれど、とても優しい人なんだろうと感じた。
食事をしながら、両家の父母が話を仕切っていてくれたけど。
後は若い二人で。
と定番の、2人きりにされた。
樹「…あの、高遠さんは雑誌編集者なんでしたっけ」
「あ、はい。そうです。どちらかというと、取材して記事を書く方が専門ですけど」
樹「お仕事は好きですか」
「はい」
つい頷いて、幻滅されるだろうかと思う。
ーー結婚を機に仕事を辞める人の方が、良いよね…
別に城間さんの方からこのお見合いを断ってくれるのは構わない。
だけど、きっと私の父は良い顔をしないだろうから、それが少し憂鬱でもあって。
樹「もうご存知かとは思うんですが、僕は4月から大阪に行きます」
「…はい、聞いています」
樹「雑誌を作る仕事なら、大阪で探す事も可能ですか？」
「……え？」
思いもよらぬ言葉に、思わず彼の目を見返した。
樹「僕の両親も…恐らく高遠さんの御両親も寿退社するようにと言ったかもしれませんが、」
頬を掻きながら、城間さんは続ける。
樹「共働きでも良いと思ってます」
「…！」
樹「ただ、大阪でもう一度就職してもらわなければならないのが、申し訳ないのですが」
「そんな……でも、どうして？」
まさか私の仕事を認めてくれるなんて思ってもみなくて。
樹「仕事に拘っている人だと聞いていたので。…一度きりの人生を後悔してほしくはありませんから」
優しい言葉と、表情。
樹「僕はできれば貴女と結婚したいと思っています。だけど、それは貴女に強要できることではありません」
「……」
樹「急がなくて大丈夫です。僕が大阪に行ってから、4月以降に結論を出して頂いても構いません」
父が持ってきたお見合いだから。
きっと相手の方も亭主関白な人なんだろうと、勝手に決め付けていたのが申し訳ないくらい。
樹「1度ゆっくり考えてみてはもらえないでしょうか。高遠さんのペースで大丈夫なので」
ーー嗚呼、
ーーすごく良い人だ
恋愛的な感情は今のところ無いけれど。
「……はい、考えさせてください」
彼の誠実さを感じて、私はそう答えた。
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海(プロフ) - ひろさん» ありがとうございます！私自身マイペースなもので、そう言って頂けると有難いです！これからもよろしくお願い致します^_^ (2020年5月26日 20時) (
レス) id: 37dc25736a (このIDを非表示/違反報告)
ひろ - とても好きです！ゆっくりでも構わないので、更新楽しみにしてます。 (2020年5月26日 17時) (レス) id: 59db8a3c3c (このIDを非表示/違反報告)
海(プロフ) - ゆうさん» ありがとうございます！少し特殊な設定ですが、これからもお付き合い頂ければ嬉しいです(*^_^*) (2020年5月14日 15時) (レス) id: 37dc25736a (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - すごく素敵な作品ですね！ (2020年5月12日 15時) (レス) id: fada27738b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海 | 作成日時：2020年3月17日 22時
