〜HORIZON〜2nd

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(you-side)


私のシーンはそれで終わり。



だけど続きでも何回か出てほしいと言われ、了承した私はその日はそのままスタジオを後にしたのだった。









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「ただいま」



半年ほど前から一人暮らしを初めたので、返事は返ってこない。



でもおば様とはよく会うし、決して疎遠になったわけではない。





今は昼はバイト、夜は練習やライブという日々を送っていて。



それなりに充実はしているけど、このままで良いのかなと、最近焦りも出ている。



「僕らはまだ未完成 噛み潰したオレンジさ…」



口ずさむのは、自分の曲じゃなくてAAAの歌。



この曲のタイトルと同じように、私はまだまだミカンセイだ。





「……元気に、してるかな」



彼等とはもう、２年ほど会っていない。



たまに深夜のテレビで見かけることもあるし、ＭＶは必ずチェックして、CDやアルバムも購入している。



だけど、ライブには一度も足を運べていない。



もし彼らの目に留まりでもしたら、邪魔になってしまう……なんてのは言い訳。



ただ単に、今の形で完成されているのであろう８人の姿を見るのが怖いだけ。





……こんな自分に、嫌悪感しか覚えない。



深く嘆息してテーブルに項垂れる私は、まだ知らない。





近い未来、大きな波に飲み込まれていくことを。









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(goto-side)


後「何回やり直したら気がすむわけ！？」



あたしの怒鳴り声に、メンバーが驚いて動きを止める。



だけどそれには気付かず、あたしは目の前の千晃を睨み付けた。



後「さっきからずーっと半拍遅れてるんだけど？」


伊「……ごめん」



メインの宇野ちゃんは別として、女子同士で同じ動きも多いあたしと千晃は、練習の時はいつもこんな感じ。



一方的にあたしが怒って、千晃は謝るだけ。



後「……詩だったら、もっと上手く踊ってたのに」


宇「友香里！」



吐き捨てるように言った台詞に宇野ちゃんが目の色を変える。



宇「千晃には千晃の良さがある！それは詩にだって真似できないでしょう！？いつまでいなくなった人の事を引っ張ったら気がすむの！」


後「っ…」



男子メンバーも皆あたしを非難するような目で見ていて。



千晃だけが気まずそうに視線をさ迷わせているのが、また苛々する。



衝動のままに、無言で部屋を飛び出した。

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