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(you-side)
「私……援交なんてしてない…っ」
クラスの男子にお金と共に言い寄られたと言う実彩子が泣く姿に、胸が痛んだ。
あれから噂や嫌がらせは時間と共に風化していったけど、人の悪意というものが実彩子の心に一生消えない傷を負わせた事実は変わらなくて。
AAAについて少し調べれば出てくる。
メンバーの中で圧倒的に人気が高いのはにっしーと実彩子、ルックスでは真司郎。
だけど、実彩子はアンチの声も集まりやすい。
その中には、根も葉もない噂が紛れていることもあって。
実彩子は沢山の批判と、どれだけ戦ってきたの?
彼女にとってトラウマとも呼べる、見えない悪意はどれだけ実彩子を苦しめているの?
勿論実彩子だけじゃない。
人気が上がるにつれ、皆がみんな似たような声は集まる。
だけど、昔の事を知っているからか、実彩子が私にとって親友だったからか。
実彩子に対する中傷の言葉を見る度に、胸が痛んだ。
「実彩子ちゃんはきっと、強い女の子なのね」
ポツリとおば様が呟く。
「だけど、詩ちゃんの存在はとても心強かったんじゃないかしら」
「え?」
おば様を見ると、ニコニコと微笑んでいて。
「本当は、グループに戻りたいのでしょう?」
「な、」
驚いて目を見開く。
「今日はずっと、思い悩んだ表情をしているから。ひょっとして、戻るかどうかの話でも受けたのかと思ったのだけれど」
「……おば様って、エスパーなの…?」
思わず呟くと、声を上げて笑われる。
「正解だったのね。……私は良いと思うわよ」
「どうして?」
「きっと陽斗だって生きてたらそう言うはず。詩ちゃんが進みたい道を進めってね」
陽斗の名を出されて、トクンと心臓が音を立てる。
「未来なんてわからないし、どんな道を選んでも、貴女は後悔するかもしれない。でも、やらないで後悔するなら、挑戦してみるべきじゃないかしら」
「でも……今更そんな勝手、」
ライブ映像に目を移す。
私がいない8人でも、感動できるパフォーマンスをする皆。
今私が入って、それをグチャグチャにしてしまう事が、怖いんだ。
「良いじゃない」
だけどおば様は笑顔を崩さない。
「詩ちゃんは今までずっと、誰かの為に生きてきたんだから、1度くらい自分の事だけを考えて、選択してみたら?」
その言葉はやけに、私の心にストンと落ちた。
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海(プロフ) - あいさん» こちらこそ再びコメントを頂けて嬉しいです♪ありがとうございます!少し書き溜めてからの公開を考えていますので、もう少しお待ちください。楽しみにして下さってる方がいる事が何よりの励みです!頑張ります!!これからもよろしくお願いします(^^) (2018年3月19日 23時) (レス) id: fc74eeea72 (このIDを非表示/違反報告)
海(プロフ) - まどれーぬさん» こんばんは!大変な時だというのに、わざわざありがとうございます(>_<)明日、普段通りの実力が出せますように…受験頑張ってください!!激励のコメントも、ありがとうございました! (2018年3月19日 23時) (レス) id: fc74eeea72 (このIDを非表示/違反報告)
まどれーぬ(プロフ) - こんばんは〜!明日受験があるのに気になって読ませていただきました〜!これからも頑張って!! (2018年3月19日 19時) (レス) id: 6ca81d105b (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 返信ありがとうございます(*´∇`*)2章楽しく読ませてもらいました(^o^)3章も楽しみにしてます(o≧▽゜)o頑張って下さい☆ (2018年3月19日 18時) (レス) id: 79d2b3f374 (このIDを非表示/違反報告)
海(プロフ) - あいさん» こんにちは、ありがとうございます!次回更新で2章完結予定ですので、暫くお待ちくださいませm(__)mこれからもよろしくお願いします(^^) (2018年3月18日 14時) (レス) id: fc74eeea72 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海 | 作成日時:2018年2月18日 22時