〜HORIZON〜2nd

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(you-side)


６月１１日。


友香里の脱退が正式に発表された。



当然私が新メンバーとして加わることもなく、今日は初めてのワンマンライブを行う。





「こんばんは、綾瀬詩です」



いつももりキャパが大きくて、来てくれた沢山のお客さんは、皆私の歌を聴きに来てくれた。



その優しさに少しでも答えることができるように、私は精一杯に歌った。









「ありがとうございました！！」


「詩ちゃーーーーん！！」


「最高ーーー！」



大きな歓声を受けて、私の初めてのワンマンライブは成功に終わった。



「お疲れ様でした！」



手伝ってくれたスタッフさんにお礼を述べて、片付けをして会場を出ると、ある女の子を見つける。





「あ、あやちゃん……！」



その子は私を見ると、頬を上気させて近付いてきた。



「あの、ライブお疲れ様でした！」


「ありがとう……出待ちしてくれてたの？」


「ご、ご迷惑ってわかってたんですけど！どうしてもプレゼントを渡したくて…！」



ワタワタと慌てる彼女だけど、私としては全然迷惑なんかじゃない。



寧ろ、出待ちなんて一人いただけでも奇跡なほど、大して売れてもないのに申し訳ないくらいだ。





「これ、チョコレートです。あ、勿論買ったものなので安心して食べてください！」


「ふふ、手作りでも食べるよ？ありがとう…………ストリートの頃から見に来てくれてたよね？」



私の問いに、目を見開くその子。



こう言っちゃなんだけど、私よりも断然可愛いと思う。



お人形みたいな小顔に、愛らしい瞳。



ガーリーな雰囲気は、私にはなくて、ちょっと羨ましい……なんて。



……この子の事はよく覚えてる。



２回目か３回目くらいのストリートライブの時から来てくれていたから。





「……知っててくれたんですか？」


「勿論だよ。いつも応援してくれてありがとう。これ、有り難く頂戴するね」



手を振って別れようと歩き出すと、後ろから大きな声がかかる。




「あの……！あたしっ、ひまりって言います！！」



思わず振り返ると、まるで陽だまりのような笑顔を浮かべているその子。





「ひまりちゃん。またね」





応援してくれるファンがいる。



何て幸せなことだろうと、心の底から思った。

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