〜HORIZON〜

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(you-side)


社長室へと来ると、険しい表情を浮かべた社長に出迎えられた。



社「伝えたい事と提案したい事が数件ある」



深く嘆息した社長は、「高倉陽斗」と陽斗の名前を告げた。



「！」


社「見に覚えがあるようだな。先に伝えていなかった此方にも責任はあるが……どうする？」


「もう、別れました」



まっすぐに目を見つめて言うと納得したようで、「そうか」と頷く。



社「別にずっと恋愛を禁止にするわけではない。だが、未成年を預かる以上、事務所にも責任はあるし、デビュー前後に騒ぎを起こすのも外聞が悪い」


「はい」


社「それと、近い内に事務所が用意する寮で暮らすように」


「……え？」



思いもよらぬ提案、というより決定事項に目を瞬かせる。



社「綾瀬の家に電話させて貰ったが、聞けば、家の方と血の繋がりがないそうじゃないか。それに、高倉陽斗の母親が保護者だという」


「それは、」


社「勿論数年共に暮らしていたのだから、情はあるだろう。何も縁を切れとは言わない」



その言葉にホッと息を吐きかけたのも束の間。



社「だが、関わる人間は考えた方がいい」



冷たい社長の言葉が耳の奥まで届く。




社「同い年の男子がいる家で共に暮らし、恋人同士になった。例え、過去の出来事だとしても、その事実は消えない」


「でも…！」


社「わかっている。綾瀬を責める気はない。だが、今AAAは大事な時期だ。わかるな？」



言われなくてもわかる。



メンバーは皆、未来を見据えて真剣にレッスンに励んでいる。



私が、足を引っ張るわけにはいかない。





社「AAAの活動が始まって、それなりに落ち着いてから会いに行けばいい。そもそも、この先忙しくなるから、暫くは会える時間も少なくなる」



社長の言葉は正論で。





デビューしてしまえばきっと、今以上にお見舞いに行ける時間はなくなる。



ましてや通うなんてもってのほか。



それこそ過去の事も影響して、あらぬ噂や誤解を立てかねない。



わかってる、けど。








AAAが売れ始めるのに、どれ程の時間がかかるの？



私が自由にプライベートな時間を持てるまで、どれくらい待つ必要があるの？



私が事務所に、少なからずできるであろうファンに信頼されるまで、何年かかるの？







その間、陽斗は待っててくれるの？

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