24 ページ26
(atae-side)
「……」
詩は何も言わなかった。
沈黙が生まれたのを良いことに俺は部屋を出ようと立ち上がる。
でもその瞬間、詩は徐に口を開いた。
「私ね、夢があるんだ」
穏やかな表情で此方を見たまま、詩は続ける。
「いつか、全員がメインボーカルのグループになること」
與「は？」
突拍子もない言葉に、思わず眉を潜める。
與「何、言うてんの」
「うん、今は信じられないよね。でも本気で目指してるんだよ」
キュ、と小さな拳を握り締める詩の表情は真剣そのもので。
「最初は難しいと思う。でも皆が歌もダンスも頑張って、経験を積んで…………ほら、私達は何にでも挑戦するグループだからさ。AAAは全員で歌うことだってできるんだぞって、世間の人に知ってほしい」
與「……」
「まあ１番は、私が皆と歌って踊るのが好きだからってだけなんだけどね」
へへ、と笑う詩を見て、気が緩む。
……なんでなん。
昨日と同じことを、違う意味で、心の中で呟いた。
與「アホらし」
「あは、やっぱりそう思う？……でも、私は全然実現可能だって思ってるから」
與「…ふーん…………まあ、そうかもな」
小さな声でボソリと呟けば、詩はニコリと笑う。
宇「おはよーございまーす」
「おはよう」
與「おはようさん」
宇「……え、あ…おはよう！二人とも」
初めて返事を返した俺に驚く宇野ちゃん。
……まあ、そらそうやろな。
驚きながらも笑う宇野ちゃんは、それでも笑っていて。
隣を見れば詩と目があって、微笑まれる。
端から見れば何でもない光景。
でも、俺にとってはとても心地の良いものに感じられる。
今までの事を反省すると共に。
もう少し自分から歩み寄ってみようと、詩を見ていて思ったのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 494人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
miyu - はじめまして！このお話号泣してしまいました（笑）大切な人と自分の夢…どちらを選ぶかって辛い決断ですよね。最後のほう号泣でティッシュひと箱なくなりました（笑）これから続編を見たいと思います！ (2020年9月24日 20時) (
レス) id: 522229740f (このIDを非表示/違反報告)
夏目海(プロフ) - はづこ。さん» ありがとうございます！できれば今週中には続編を作りたいと思っておりますので、今暫くお待ちいただければ幸いですm(__)m (2018年2月14日 23時) (レス) id: fc74eeea72 (このIDを非表示/違反報告)
はづこ。(プロフ) - とても楽しみにしてます！頑張ってください！(*⌒▽⌒*) (2018年2月14日 15時) (レス) id: 8b66f080ab (このIDを非表示/違反報告)
夏目海(プロフ) - あかりんごさん» ありがとうございます！ヒロインとAAAの物語はまだまだ長くなる予定なのでお付き合い頂けると幸いです！今夜もこの後更新予定ですので、暫しお待ちくださいm(__)m (2018年2月5日 17時) (レス) id: fc74eeea72 (このIDを非表示/違反報告)
あかりんご(プロフ) - 毎回更新を楽しみにしてます！続きが気になる終わり方…!!!!!これからひろいんとAAAがどうなっていくのか楽しみです！応援しています！ (2018年2月4日 21時) (レス) id: b2fbf946ee (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：海 | 作成日時：2018年1月5日 13時
