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(sueyoshi-side)
千晃の加入が決まったのは決まったけど、一緒には練習できなかった。
ダンスが殆ど未経験らしい千晃は始めは別室で練習。
できるようになったら一緒に練習が始まるらしい。
……こんなとこまで詩と同じだと、最早笑うしかなくて。
でも、だからこそ疑ってしまう。
千晃も詩と同じようにある日突然やめるんじゃないかって。
.
夜遅く、自主練のために残った俺は興味本意で明かりがついていたレッスン室を覗く。
末「……!」
そこには夢中で踊っている千晃がいて。
俺には気づいていないのだろう、何度も何度も繰り返し同じ曲を躍り続ける千晃の顔は今にも倒れそうなほど真っ赤だった。
末「っやめろ!」
伊「!……え、」
末「アホか!何時間踊ってたんだよ。フラフラじゃねーか」
ずっと休みなく練習していたんだろう千晃の身体は小刻みに震えて、筋肉が痙攣している。
伊「す、えよしくん」
末「良いから。取り敢えず座って飲め」
無理をして練習するところまで詩にそっくり。
見れば見るほどに、二人が重なって見えてしまう気がした。
末「……なあ、何でそんなに必死になれんの」
伊「皆に追い付くためだよ」
……言うことまで一緒とか。
嘆息しかけると、千晃は更に続けた。
伊「もっと言うと夢の為。ずっと、ずっと夢だったの。だから結局は私の為だよ」
末「……」
そう言う千晃を凝視する。
……思えば、今初めて千晃の事をマトモに見た気がする。
俺は無意識の内に、無理に千晃と詩を重ねて見ようとしてたんじゃないだろうか。
伊「ね、秀ちゃんって呼んで良い?後、私もう帰るから、大丈夫だよ」
花が咲いたように明るく笑う千晃。
詩の笑みも綺麗だったけど、もっと大人しくて儚げだった。
末「良いけど。つか送ってく、夜遅いし」
詩は一人で戦ってるように見えて、いつの間にか周りを自分で巻き込んでいったけど。
千晃は巻き込むのは苦手そうで、何故かほっとけない存在のようで。
……何だ、全然違うじゃん。
ただの感じ方一つでこんなにも変わる。
大丈夫。
俺は千晃とメンバーになれる。
漠然と、そう思った。
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miyu - はじめまして!このお話号泣してしまいました(笑)大切な人と自分の夢…どちらを選ぶかって辛い決断ですよね。最後のほう号泣でティッシュひと箱なくなりました(笑)これから続編を見たいと思います! (2020年9月24日 20時) (レス) id: 522229740f (このIDを非表示/違反報告)
夏目海(プロフ) - はづこ。さん» ありがとうございます!できれば今週中には続編を作りたいと思っておりますので、今暫くお待ちいただければ幸いですm(__)m (2018年2月14日 23時) (レス) id: fc74eeea72 (このIDを非表示/違反報告)
はづこ。(プロフ) - とても楽しみにしてます!頑張ってください!(*⌒▽⌒*) (2018年2月14日 15時) (レス) id: 8b66f080ab (このIDを非表示/違反報告)
夏目海(プロフ) - あかりんごさん» ありがとうございます!ヒロインとAAAの物語はまだまだ長くなる予定なのでお付き合い頂けると幸いです!今夜もこの後更新予定ですので、暫しお待ちくださいm(__)m (2018年2月5日 17時) (レス) id: fc74eeea72 (このIDを非表示/違反報告)
あかりんご(プロフ) - 毎回更新を楽しみにしてます!続きが気になる終わり方…!!!!!これからひろいんとAAAがどうなっていくのか楽しみです!応援しています! (2018年2月4日 21時) (レス) id: b2fbf946ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海 | 作成日時:2018年1月5日 13時