21 ページ23
(nishijima-side)
初めて7人で歌とダンスを合わせていると。
「ふふ、」
曲が終わって小さく詩が笑う。
西「なーに笑ってんの?」
プスリと頬に指をさして聞けば、もうっと言いながらも笑顔で詩は答えてくれた。
「昨日秀太と2人で練習をした時も思ったけど、皆でやるのは楽しいなぁって」
西「は?秀太と2人?」
想像だにしていなかった出来事だけど、確かにそう考えれば秀太の今日の柔らかい雰囲気に説明がついて。
西「……なるほど、それで仲良くなったってわけか」
俺だってまだそこまで仲良くなれていないのに。
「私ね…」
そこで一旦言葉を切って、ゆっくりと顔を近づけてくる詩。
西「ちょ、」
「秀太の事、少し誤解してたみたい」
ドクンと心臓が跳ねるけど、詩は全く気にしていないようで続ける。
「ただ冷たい人なわけじゃなくて、実はとてもまっすぐで、情熱的な努力家なんだなって」
周りには聞こえないように小さな声で話す詩の表情はとても優しくて。
──メンバー同士で仲良くするのは良いことだ。
──それが、つい先日亀裂が入っていた2人なら尚更。
頭ではそう分かってる。
西「ふーん、良かったじゃん」
口でも、そう言えている。
なのに。
「そうだね、ありがとう」
西「ま、そんな事より練習続けようぜ。練習後は楽しいご飯だし」
「うん、頑張ろう」
強引に話を打ち切ってしまう。
どうして、苛々している自分がいるんだろう。
秀太が俺には心を開いていないのに、詩とは仲良くなれていたから?
一緒に歌いたいと俺も思っていたのに、秀太に先を越されたから?
それとも……。
『とてもまっすぐで、情熱的な努力家なんだなって』
詩があんなにも優しい目をして秀太の事を語ったから?
……まさか。
頭に浮かんだ考えをとっさに否定する。
きっと、俺も秀太と仲良くなりたいという焦燥と。
詩と2人で歌ってみたかったという想いからくる悔しさに違いない。
そう言い聞かせれば、ストンと胸に落ちたのだから。
最後に浮かんだ考えは、気のせいだったのだろう。
493人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
miyu - はじめまして!このお話号泣してしまいました(笑)大切な人と自分の夢…どちらを選ぶかって辛い決断ですよね。最後のほう号泣でティッシュひと箱なくなりました(笑)これから続編を見たいと思います! (2020年9月24日 20時) (レス) id: 522229740f (このIDを非表示/違反報告)
夏目海(プロフ) - はづこ。さん» ありがとうございます!できれば今週中には続編を作りたいと思っておりますので、今暫くお待ちいただければ幸いですm(__)m (2018年2月14日 23時) (レス) id: fc74eeea72 (このIDを非表示/違反報告)
はづこ。(プロフ) - とても楽しみにしてます!頑張ってください!(*⌒▽⌒*) (2018年2月14日 15時) (レス) id: 8b66f080ab (このIDを非表示/違反報告)
夏目海(プロフ) - あかりんごさん» ありがとうございます!ヒロインとAAAの物語はまだまだ長くなる予定なのでお付き合い頂けると幸いです!今夜もこの後更新予定ですので、暫しお待ちくださいm(__)m (2018年2月5日 17時) (レス) id: fc74eeea72 (このIDを非表示/違反報告)
あかりんご(プロフ) - 毎回更新を楽しみにしてます!続きが気になる終わり方…!!!!!これからひろいんとAAAがどうなっていくのか楽しみです!応援しています! (2018年2月4日 21時) (レス) id: b2fbf946ee (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:海 | 作成日時:2018年1月5日 13時