終焉の後 ページ48
輸血開始から程なくして、
Aの目が覚めた。
その間に
出陣していた全部隊が帰還し、各々が自分にできる最前を尽くしていた。
そして三日月宗近は山姥切国広の代わりとして、全員の無事を報告していた。
「良かった、皆、無事だったんだね……」
Aはまだ全快では無い体が痛むため、小声で声を発する。
三日月「ああ。これも全てAのおかげだな」
「ううん。私の無茶に着いてきてくれたみんなのおかげだよ……」
三日月「……してAよ、ちと聞きたいことがあるのだが、良いか？」
「ん……？」
三日月「お主は戦が終わった今、どうするつもりだ？」
「どうする、か……」
正直に言えば、
審神者としての使命も終わったし、Aとしての使命も果たされた。
以前もその話で山姥切と話し合った。
そして自分の意見も出した。
だが、
敵対者から歴史を守る必要が無くなった今、
各本丸に霊力を補給し続ける必要も無いし、本丸自体を残しておく必要も無い。
「どうしようかな、これから……」
幸波「あら、主様はここに意地でも残るとおっしゃるのかと思いましたけれど。違うのですか」
「幸波、長谷部……」
長谷部「母上からの言伝だ。
”霊力の供給は続ける。だから、安心してここに居ていい”だそうだ」
「え……」
”ここに居ていい”
あの母は本当に、自分を大切にしてくれているんだ、と実感する。
長谷部「資金の調達は自力で、という条件付きだがな」
幸波「仕方がありませんわ。国からの支給がなくなってしまうんですもの」
「そっか……良かった……」
心底ほっとした。
皆との生活が奪われなくて済むのだから。
……家族を奪われなくて済んだのだから
山姥切「何も良くないぞ」
「え……？」
山姥切「俺たちは明日学校の卒業式、他の連中は明日から仕事探しだ。
いくら今までの貯金があるとはいえ、早めに仕事を見つけなければ底を突くぞ？
まず、お前のその怪我なら本来卒業式なんか行かせられないが、
それもどうするかも考えなければいけないだろう？」
山姥切の突然の論破に一同は呆然とする
長谷部「大丈夫だ山姥切、心配しなくても経済面は俺と博多が何とかする……ククッ」
幸波「フフフ……」
山姥切「？？おい、何故笑っているんだ？？？」
三日月「ははは、良きかな良きかな」
山姥切「え、なんだ？？」
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作者名：九条椿 | 作成日時：2019年4月6日 15時
