元ブラック本丸の審神者がピリオドを打ちます！完結編 (ページ39)

今日:2 hit、昨日:5 hit、合計:23,423 hit

終焉まで、あと＿＿＿＿✝︎ ページ39

薬研side

山姥切「薬研！そろそろ例の場所だ！」

俺と旦那は東から南にかけて、時間遡行軍を斬りながら進んでいた。

遂に、周りの木々よりも一回りも2回りも大きく、ぽっかりと深い穴が空いた木……Aの秘密基地に着いた。

が、

そこから、僅かにだが、血溜まりが出来ていた。

山姥切「A！！！！！」

それを見た途端、旦那の顔は青ざめ、愛する人の名を叫んで駆け寄った。
俺もその後を追って中を覗き込んだ。

中に覗くと、至る所から流血し辛うじて息はあるものの、冷たくなったAがいた。

横では普段は冷静に考え、皆を引っ張っている近侍が顔を青くして取り乱し、必死にAを呼んでいる。

山姥切「A！！！おい、起きろ！！しっかりしろ！！A！目を開けてくれ！！」

薬研(ここで俺も一緒に冷静さを失ったら、Aがまじで死んじまう)

スー……ハー……

薬研「旦那、退いてくれ」

俺は1つ深呼吸をして山姥切の旦那を剥がし、慣れた手つきで消毒して傷口を縫っていく。

10分ほどの時間がたった頃、10程あった傷は全て縫い終わった。
そして包帯やガーゼで患部を覆っていく。

薬研「ふー……一先ずはこれで大丈夫だろう。だが、出血が酷い。暫くは動かしちゃいけねえな……」

山姥切「こいつ、こんなになるまで……」

薬研「ああ、俺たちの時間を稼いでくれたんだろうな」

情けない、そんな一言しか出ない。
しかし、その言葉を口にしてしまえば、体をはって自分達に時間をくれたAの努力を無下にすることになる。

だから2人は言葉を飲み込んだ。

止血はしたが、かなりの量の血を流し体力もかなり消耗している。
この状態では、いくら治癒能力が他の人の子よりも優れているAでも、そう簡単には治らないだろう。

何か、少しでもはやく治す方法……
Aがいつも、俺たちにやる方法、は……

考えている俺の目に、Aのレッグポーチ(太ももに付けるポーチ)が止まった。

あの中には、大量の札と道具が入っていたはずだ。
もしかすると、治癒の札も入っているかもしれない……！

薬研「旦那！あんた今神力どれだけ残ってる！？」

山姥切「ほ、ほぼ満タンだが……それがどうかしたのか？」

薬研「俺じゃ出来ない、ずっと傍にいたあんただからこそ、あんたにしか出来ないことだ！」

山姥切「……分かった。俺は何をすればいい？」

薬研「この中に……よし、20枚位ありゃあ十分だ。これに神力を流してくれ！」

山姥切「ああ…」