元ブラック本丸の審神者がピリオドを打ちます！完結編 (ページ34)

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終焉まで、あと_____ ページ34

私は、強くて優しい審神者のお母さんに憧れて、審神者になりたかった。

私が審神者になってやりたかったこと。
それは、大切なものを守れるヒーローになること。

その為に、何でもできるようになりたくて、何でも守れるようになりたくて、毎日稽古を頑張った。たくさん勉強をした。

でも、その夢はズタズタに引き裂かれて、私は刀剣男士(大事なもの)を失(な)くした。

だけど、私はその現実を受け入れたくなくて、無意識に自分の記憶を消した。

"それ"から逃げたくて、見たくなくて。

……今思えば、私が審神者になったのは、チャンスを与えられたからなのかもしれない。

現実を受け入れて皆を助け、逃げず、目を逸らさず、もう一度やり直すチャンスを与えられたんだと思う。

中１の、二年前のあの日春樹さんが来て、審神者になれって言われて、
その時はただ、たまたま審神者になるための条件を満たしていて、大好きな刀剣男士と一緒に戦えるって純粋に嬉しくって、すごく喜んでた。

でも本当は、あの日まんば兄が言ったように、他の本丸の皆を助けること、それが私が審神者に選ばれた理由だったのかもしれない。

私の成すべきこと(それ)は、記憶が無くても、私の魂がちゃんと覚えてた。

この本丸がブラックで、皆が苦しんでいた。悲しんでいた。
私はそれから皆を助ける。それが私の役目。

でも私はみんなに守られてばかりで、私の役目なんてこれっぽっちも果たせてなんかいない。

それが本当に悔しくて何度自分が嫌になったことか。
何度、私じゃなくて刀剣男士(みんな)なんだろうと思ったことか。

それでも、消えてしまいたい、なんて思ったことは一度だってなかった。

いくら消えようとしても、必ず見つけ出してくれる大事な刀(ひと)が、信じて待とうと思える刀(ひと)がいてくれたから。

だから、今回も消えるつもりはない。
私の事を大切に思ってくれているみんなの為にも、死んでなんかやるもんか。

いくらこの身を削ったとしても、絶対に死なない。
みんなの事も、絶対に死なせない。

それが、

私の、夏木Aの、最後の仕事だから。