終焉まで、あと_____ ページ32
所々にシミが見える。
それは最後の方に行くにつれて多くなっている。
幸波「これ……」
長谷部「涙、だな……。」
同田貫「これじゃあ、遺書じゃねぇか……」
獅子王「……なあ、まさかあいつ、自分を囮にして死ぬつもりなんじゃ……」
山姥切「っ！！」
長義「待てよ偽物君」
獅子王の言葉に触発されて、部屋を出ていこうとする山姥切国広を、本歌の山姥切長義が引き止めた。
山姥切「なんだ！！早くAを助けに行かないと、あいつが……！」
長義「俺はあの子に頼まれたんだ。君を支えてくれ、と。」
山姥切「……何が言いたい。」
長義「今こうしている間にも、あの子は___」
山姥切「だから、何が言いたいんだと聞いている！！！」
山姥切国広の怒号でその場にいたミキの本丸の一部の短刀が小さな悲鳴を上げた。
それを見たミキが、怒気と殺気を放っている山姥切国広とそれを煽る山姥切長義をなだめようとするも、山姥切長義は止めない。
長義「全く、本当に理解できない。なぜあんなにも美しく優秀な審神者と、君みたいな偽物君が一緒に居るんだ。」
山姥切「写しは偽物とは違う……！！」
長義「違わないさ。今の君は
山姥切「違う！！！俺はあいつを守ると、一人にしないと誓ったんだ！！どこにいても見つけ出して迎えに行くと、約束したんだ！！」
長義「だったらまずは、その乱れた心をどうにかしろ。そんな状態じゃ、相手の思うようにしかならない。」
山姥切「っ……」
長義の言うことはごもっともで、山姥切国広は何も言い返す事が出来ず、しばらくの沈黙が続いた。
長谷部「ゴホン、長義の言うとおりだ、山姥切。落ち着いたか？」
山姥切「……ああ、すまない。」
長谷部「よし。では急ぐとしよう。山姥切、指示を頼む。」
山姥切「わかった。Aは、俺たちの体勢を整える時間を稼ぐために、東の森から連なる山に向かった。今はおそらく……この、山の頂上に近い中腹辺りで交戦中のはずだ。」
ミキ「中腹……頂上の方だと囲まれやすいから？」
山姥切「ああ、おそらくな。だから、俺たちが相手を囲むように、山の東西南北から中心に集まるように攻めていく。」
�鷁箪�「師匠の救出と同時に敵の殲滅、ってこと？」
山姥切「そういうことだ。」
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作者名：九条椿 | 作成日時：2019年4月6日 15時
