十一日目 ページ13
大赦「では、またいつか勇者のお役目には復帰していただくので、ご了承下さい。」
一礼すると大赦は本丸から出ていく。
その後はただただ沈黙が続いた。
その沈黙の中に歌仙の声が響く。
歌仙「どうして翡翠なんだっ……！」
翡翠「歌、仙。こっち、むいて？」
歌仙「どうしたんだい……？」
翡翠「笑って？歌仙には泣き顔なんて似合わない。それに、歌仙は笑っている方が綺麗だから。」
歌仙「っ、ああ。ありがとう。君は本当に、相手を褒めるのが上手だ……。」
歌仙は車椅子の上の少女を抱き締める。
次郎「さ、日本号！呑み直すよ！」
日本号「お！良いねえ。長谷部、付き合え！」
長谷部「全く……お前らが酒の量を減らしてくれれば多少は裕福になるんだぞ。」
次郎「そんな固いこと言わずにぃ〜！」
三人に加えて太郎や不動が一緒に行く。
蜻蛉切「歌仙殿、少し相談が。」
歌仙「なんだい、蜻蛉切。」
蜻蛉切「翡翠が乗っている物は車輪がついているであろう？この本丸は段差が多い。となると、移動が困難では無いか？」
歌仙「確かに……。段差はなくせれば……。」
秋田「それなら、すろーぷって言う坂を本丸に作りましょう！」
歌仙「すろーぷ……？」
御手杵「あー、この前テレビでやってたな〜。あれなら板があれば段差を無くせるし、いいな。」
御手杵は半分は趣味だが、本丸の棚や修理要員なので、半日で必要なだけのスロープは作ってしまうだろう。
蜻蛉切「今日はもう遅い。明日、朝餉の後に万屋に行くとしよう。山伏殿、手を貸してくれるか？」
山伏「あい分かった！拙僧にできることならば何でもしよう！」
御手杵が同田貫を半ば無理矢理連れて、必要な分の板の大きさを計りに行き、各々部屋に戻り始めた時、翡翠がこんなことをこぼした。
翡翠「私、出来ないこと沢山あるから、皆に迷惑かけちゃうよね……」
澄「何を言っているのです？迷惑な訳がありませんよ。むしろ、世話を焼けるのですから、私は嬉しいですよ。」
翡翠「でも……。」
大和守「
翡翠「ありがとう、皆……。」
澄と大和守は笑顔で言うが、内心、凄く悲しかった。
勿論二人だけではない。この本丸全員がそう思っている。
だって海で泳ぎたいと言ったすぐ後に、小さな願いさえも叶わなくなってしまったのだから。
歌仙に至っては、待つことしか出来ない無力な自分を憎むほどだった。
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梅椿之姫(プロフ) - 星のアリアさん» 星のアリア様、ご閲覧ありがとうございます！鷲尾須美ちゃん達と同い年、と言う設定で進めていく予定では有りますが、皆様のご希望次第で変わると思います。 (2018年6月26日 22時) (
レス) id: 094ccbac9c (このIDを非表示/違反報告)
星のアリア(プロフ) - 勇者であるシリーズとの混合があまりないので嬉しいです、ちなみに鷲尾須美ですか？ (2018年6月26日 20時) (レス) id: 78a58b860d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：九条椿 | 作成日時：2018年6月21日 6時
