完璧なフリはもうやめて (ページ50)

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リレーではうちのクラスが1位になった。

樹が2位からスタートで逆転をした時は、クラスが大いに盛り上がっていた

みんなの元に戻って行った樹のところには沢山の女の子ちが群がっていて、私は遠くから見つめることしかできなかった。

私だけ蚊帳の外はいつものことだけど、この日はなんだか泣きそうになった。

体育祭終了後の片付けは森本くんがやるからと、早めに家に帰された。

騒がしかったお祭りムードから一転、自宅に着くと静まり返った空間。

1人には慣れたはずなのに

樹と交換したハチマキを握りしめると涙が出てきた。

樹とは住む世界が違う

光と影のように対照的で、隣にいることは似つかわしくない。

わかっていたはずなのに

もう恋愛はしないと決めていたはずなのに

胸が苦しくて、辛くて

泣きじゃくる私のもとに、一本の電話が入った。

一旦深呼吸をして息を整えてから電話に出た。

『もしもし、久しぶり。』

「健人先輩。」

『最近忙しそうだったから、元気にしてるかなって。』

「大丈夫です。」

『泣いてるの？』

「泣いてないです。」

『すぐいくから待ってて。』

そう言って電話を切るとすぐに健人先輩はきた。

今までは感情的にならないように必死で取り繕ってきたが、この日は限界でまるで子供のように泣いた。

そんな私の背中を優しくさすりながら、ずっとそばにいてくれた先輩。

私は今までのことを全て話した。

健人先輩は静かに私の話を全部聞いた後

『辛かったね。』

そう言って抱きしめてくれた。

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