完璧なフリはもうやめて (ページ47)

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「先生ちょっと良いですか。」

放課後、コーヒーの匂いが充満した職員室に寄った。

「私日光に長時間当たると肌が赤くなっちゃうんで、体育祭の日はテントの下にいて良いですか？」

『もちろん構わないけど。』

「ありがとうございます。」

うちのクラスの担任の櫻井先生はフランクで生徒からも人気がある。

入学するときに家庭の事情を話していて、唯一信用できる大人だと思っている。

まあ適当なところもあるが、とても良い先生だ。

『体育祭の実行委員引き受けてくれて感謝してる。』

「いえ、そんな。」

『お前クラスでいじめにあったりしてないか？』

「大丈夫です。」

女子からの風当たりは依然として強いものの、気になるようなことは起きていなかった

『お前は成績もいいし、顔もいい。その上モテるんだから嫉妬の対象になっても不思議じゃない。』

「急に褒められると怖いんですけど。」

『まあ持つもの者にも苦労があるってもんだな(笑)』

「私は何も持っていません。」

『みんなはお前のこと知らないからな。

　親御さんとは連絡とってるのか？』

「まあ業務連絡程度のものなら。」

『お前はいつも強がっているけど所詮まだ高校生のガキだ。寂しいこともあるだろ。』

「…」

『もっと人を頼れ。』

私に頼れる人なんて、、、

“俺がいるから”

海に行った日、樹に言われた言葉を思い出した。