完璧なフリはもうやめて (ページ32)

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みんなが海で遊ぶ中私はビーチで一人、荷物番をしている。

水面に太陽が反射してキラキラ光って

樹も他のみんなも、キラキラした笑顔で笑ってて

私だけなんだか遠くの世界にいるみたいだ。

樹のそばにいると、期待してしまう自分がいる。

私を気にかけてくれる彼を手放す勇気が持てない。

夏休みだから海はかなり人が多くなってきた。

その中から聞き覚えのある声がした。

『人多すぎだろー』

『ヒカル待ってってば！』

男女グループの中にヒカルがいた、、

私と別れても、ヒカルは楽しく生きてるんだ。

樹と屋上で出会った時の私はもう死にそうだったのに

久々に、あの日のことを思い出した。

もう恋愛なんかしない、誰にも依存せず独りでいる。

そう思ったのに

『どうした？元気ねーじゃん。』

隣座ってくる樹。

「ねえ樹

　私と初めて出会った日のこと覚えてる？」

『そりゃあ、あんな出会い方したら忘れねえだろ。』

「私が彼氏にフラれたって話したじゃん？

　その人さっき見かけたの。」

『そっか。』

気まずそうに俯く彼。

「なんかさぁ、私いないほうが楽しそうだった(笑)」

作り笑いを浮かべるけど、涙がこぼれそうだった。

『なんでそうやって大丈夫なフリすんの？』

「えっ？」

『俺の前では強がんなよ。』

そう言ってくれた彼はとても優しい顔をしていて

気を抜くともう、、、

「私に優しくしないでよ。」

『なんで？』

「どうせ、樹も離れていくでしょ？」

こんなこと聞いたって

『俺は離れていかないよ。』

そう答えてくれるのは明白だった。

でもその優しさに甘えたくなってしまって。

「もう私、ダメかもしれない。」

もう、これ以上近づかれたら

彼を愛してしまう。

そう言った私の肩をひいて、ぎゅっと抱きしめてくれた。

『俺がいるから。』

このまま、2人で海に沈んで誰もいない街に行きたい。

ずっと樹と2人で。

そう思うともう止められなくて

私は樹の背中にそっと腕を回した。