完璧なフリはもうやめて (ページ19)

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『ねえ、なんで言ってくれなかったの？』

「急になに、主語がないからわかんないよ」

昼休み、突然田中くんが怒った表情で話しかけてきた。

『図書委員！

　毎週水曜は受付するって。』

「あっ忘れてた。」

『俺の存在感てそんな薄いの！？』

そんなわけない。

私が意識しすぎて中々話られなかっただけだ。

「なんで水曜ってわかったの？」

『今日大我に教えてもらった。』

「そっか。

　まあでも田中くん忙しいだろうし、1人でも十分できるから大丈夫だよ。」

『何それ。俺いらないの？』

「別にそう意味じゃ。」

『次は絶対行くから。』

「無理しないで。」

「してない。」

次の水曜日。

「本当に来たんだ。」

『当たり前じゃん。』

ニっと笑う田中くん。

距離を置こうとしてたのに、なんでこうなっちゃうかな。

『どんな事すればいいの？』

「返却と貸出の手続きと、返却された本を棚に戻すだけ。」

『待ってこの量の本、いつも1人でやっててくれてたの？』

昼休みにも開放されている図書室には返却用の本を置くスペースに何十冊か乗っている。

「まあ時間はいっぱいあるからね。」

『そうじゃなくて、重いでしょ。』

「ああ、そっちか。」

確かに重さは結構あるけど、松村くんが手伝ったりしてくれてたからそんなに苦ではなかった。

『もうちょっと頼ってくれていいのに。』

「次から努力する。」

『ん。いい子。』

そう言って私の頭を撫でてくれる。

でもこれは他の女の子たちにもやっていることだと私は知っている。