腹の内を明かしてみなよ。２【轟焦凍】 (ページ5)

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ただ、報われてほしい。ページ5

「あ、お久しぶりです。エンデヴァーさん。」

「……ああ」

あのあと、焦凍は無言のまま帰っていった。

…最後に「……毎日来る。」とだけ言って。

いやいや、意味わかんねえ。

私のこと嫌いなら来んなよ。

私だって変わってしまったあんたに会いたくねーよって感じだわ。

なんて思いながら次の日になり、今日は意外な人物が会いに来てくれた。

そう、今目の前にいるのはエンデヴァーさん。

凄く久しぶりに見るけど相変わらず迫力がすげえなあ…。

しみじみそう思ってると、なんとも言えぬ顔で此方を見ながら呟いた。

「久しぶり…か。…そうか、お前の方か。」

「え？」

謎な発言を残して椅子に腰掛ける。

ちょっとよく分からない。

私の知り合いは意味がわからない発言をする人が多い気がするのだが…

そんな疑問が残るが、気になったことを聞いてみることにした。

「今日はどうしました？」

多忙なエンデヴァーさんが来てくれたんだ。
何かしら用事があったのだろう。

すると、一瞬考えて口を開いた。

「……聞きたいことがある。」

「はあ…、答えられる範囲なら。」

なんだろうと首を傾げながら言葉の続きを待つ。

悪いこともなんもしてないのに、何故か緊張しているのを感じながら。

「……俺と初めて会った日のことを覚えているか？」

「え、覚えてますけど…」

忘れもしない。

私の唯一心を許せる大人。

「小さい頃、私の両親が何者かによって殺害された際、エンデヴァーさんが私のこと助けてくれた時ですよね？」

命の恩人ですから。

「…………。」

＿＿＿＿＿

Aの病院から帰る途中。

俺はずっと考えごとをしていた。

…この子はどうしたら報われるのだろうか、などと柄にもないことを。

なんの関係も持つ必要のないこいつに、俺は確かに心の底から幸せを願うようになった。

彼女が作り上げた物語＿それは嘘であり、

嘘を真実のように語る彼女を見るのがとても辛かった。

本当は、分かっているはず。

だけど、それを知らせるのはあまりに残酷ではないだろうか。

……彼女を救ってほしい。

俺の願いだ。人並みの幸せを与えたい。

……でもそれは、焦凍にしかできないだろう。