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○青 × 桃 ページ1

望「聞いてほしいことがあんねん。」



望に似て優しそうな母親が眉を吊り下げ心配そうに俺たちの顔を見る。



望「俺、流星と付き合ってます。
法律上では結婚できんのは知ってる。でも俺達は2人で生きるって決めてん。」




机の下で震えている手をそっと握る。

手も声も震えてんのにまっすぐ両親の目をみてる。
あぁ、いつのまにこいつはこんなに強くなったんやろう。



流星「絶対幸せにします。どんなことがあっても絶対に守ります。」




口ではこんなこといっててもつい目を逸らしてしまう。

母親の悲しそうな顔。
お姉さんの軽蔑するような目。
父親の真っ赤になった顔。

まっすぐ目をみて話せるほどおれは強くない。




父「どういうつもりや。」

地を這うような低い声に寒気がする。






ふと目が合うとその瞬間、頬に強烈な痛みが走る。

怖くて顔が上げられない。
望と望の父親が言い争う声が聞こえる。

望「もうええっ!!」

望は俺の手を掴むと逃げ出すように家を出た。



帰っている子どもたちの間をすり抜け全速力で走る望に手を引かれるがまま走る。

ヒリヒリと痛む頬に当たる冷たい風が心地いい。


ふと望が立ち止まる。





望「俺な、昔家出したことがあんねん。
家出といっても今みたいに怒って家を飛び出しただけなんやけど。」


「嫌なことがあるたびにここに来ねん。
でもいつも皮肉なくらい同じ景色で、あの2本の木からいつも夕日が覗いてる。
この景色が大っ嫌いやけど、流星と見てるからなんかな。
なんかめっちゃ安心する。」





目を細めて遠くを見つめてる望は離すと消えてしまいそうで、
そんなわけないって分かっていても抱きしめずにはいられんかった。




怖い。






俺よりずっとこいつは強いのに、俺が弱いせいでこいつを傷つけてるんやないかって。

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作者名:さみみ | 作成日時:2019年6月3日 0時

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