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言葉を選ぶように慎重に話そうとすると、しどろもどろになってしまった。
それでも先を急がすことなく中居さんは静かにオレの話に耳を傾けてくれる。
「…あのふたりは特別なんです。ファンの子にとってもオレらにとっても。シンメって呼ばれるコンビは多いけど、あのふたりは独特で絶対的シンメって呼ばれてて…。でもそれってふたりにとってはどうなんだろう?って、時々思うんです」
「どうなんだろうって、どういうこと?」
ニカが不思議そうな顔をする。
これはニカにも話したことはなかった。
中居さんがちらりとニカを見て、すぐにオレに視線を戻した。
「オレにとっては ある意味目標だし、精神的な支えでもあって、それはメンバーも似たように思ってると思います。でもそれはこっちが勝手に思ってることで、ふたりにとっては…」
そこまで話して言葉が続かなくなった。
躊躇しているわけじゃない。どう表現していいのか、自分でもわからないんだ。
それでもなんとか説明しようと言葉を探していると、ぽつんと中居さんが口を開いた。
「―― 重荷、かもって?」
「……重荷、でいいのかな? 本当は変わりたいのかなって…。……足枷、みたいな?」
中居さんの一言が呼び水みたいに、自分がイメージする言葉が出てくる。
言葉にしてみて、全部イメージの良いものじゃなかったことに驚いた。
「シンメ、ねぇ…。俺らの時はそんな言葉自体なかったから、お前らの感覚で訊かれても正直困るな」
そう言って、中居さんは横に向けていた身体をオレたちに向けた。
「ただ、北山と藤ヶ谷だけでグループ引っ張っている意識、本人たちはそこまで持ってないじゃないか?」
「え?」
「最初はもちろんあったかもしれないけどな、今はほとんどないんじゃねーの?」
「そうなんですか?」
「そういうもんだろ、グループって。ずーっと同じ形のままいる方が難しいだろ」
「中居さんと木村さんもそうだったんですか?」
「んー…、まあ、そうだな」
記憶を辿るように、宙を見上げる中居さんには何が見えているんだろう。
何を、思い出しているんだろうか。
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ひろ(プロフ) - 感想になるか分からないですが、、、Dawnのお話を読んで、彼らのの解散にひどく傷ついていたこと、見ないふりをしてきた自分に気付かされました。大丈夫なふりを、していたなって。ずっと聴けなかった彼らの曲を改めて聴きたいと思うきっかけになりました。 (2021年5月27日 20時) (レス) id: 88642e1cbe (このIDを非表示/違反報告)
きたの(プロフ) - 「眠れぬ…」を読んでいたらもっともっとumeno様のお話を欲してここに帰ってきて思ったのですが「イエスだったら目を閉じて」と言いながら瞼にキスを落とすFさんにクラクラしてもうそのページだけで何回も読み返して次に進めなくなっております笑。またお邪魔致します。 (2019年4月4日 18時) (レス) id: 0439536464 (このIDを非表示/違反報告)
白雪(プロフ) - 和歌の世界を含ませた藤北のお話に自然に涙が出ました。素敵です…有り難うございました( ; ; )このお話に出会えてよかった (2018年7月9日 17時) (レス) id: 9a25a9284f (このIDを非表示/違反報告)
umeno(プロフ) - きたのさん» きたのさん、コメありがとうございます。突発的な横北を気に入って頂けて良かったです。落ちついてるふたりでしたね笑 裏設定として次の日のカレーうどんはKさん寝坊でYさんが作り、自分が作るより美味しいとKさんが拗ねるというのがありました(^ ^) (2017年7月22日 18時) (レス) id: 5f3e9630aa (このIDを非表示/違反報告)
きたの(プロフ) - 一度しか投票出来ないのが悔しいくらいに心の中で星押させてもらってます!横北素敵ですね。お互いを気遣いながら恋をする大人なふたりにキュンとしました!横尾さんからみる上目遣いの北山さんの可愛さは格別だろうな〜。素敵な小説ありがとうございました。 (2017年7月22日 15時) (レス) id: 401ec2c6d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:umeno | 作成日時:2016年11月2日 17時