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俺を避けて窓側に身体を傾けたままだから、放っておくと窓に頭をぶつけそうだ。
「北山、嫌かもしれないけど、こっち寄っかかって」
右手で北山の肩を抱き、俺の肩へともたれ掛けさせるように引き寄せた。
眠いからか抵抗はされず、コテン、と小さい頭が肩に乗っかる。
「……ぃや じゃない、…」
ぽそっとつぶやく北山の声が聞こえた。
くっついている肩から振動は伝わってくるのに、肝心の声はよく聞こえなくて、また聞き返してしまった。
「ごめん聞こえなかった、なに？」
「……も、いい」
かすれた、弱々しく消えそうな声が聞こえて、北山の頭が下を向いてしまう。
やっちゃった…
渉に慎重に、って言われてたのに。
「…ごめん、ゆっくり眠って」
そう言うしかなくて、ブランケットを北山の肩まで引き上げた。
しばらくすると、規則正しい寝息が小さく聞こえてきた。
眠ってくれたことに少しだけホッとして、ラテを飲む。
本当に甘さ控えめでミルク本来の甘さが口当たり良い。
北山が美味しそうに飲むわけだ。
眠っている北山を覗き込む。
長い睫毛が影を作り、うっすらと開いている唇にドキリとさせられる。
無意識に手が伸び、頬にそっと触れる。ふっくらした感触に、つい撫でてしまった。
ふと、前触れもなく北山のまぶたが開き、睫毛の間からこげ茶色の瞳が見える。
起こしちゃった！ と慌てていると、北山は俺をとらえて何秒か無表情に見つめてくる。
名前を呼ぼうとしたら、頬に添えたままだった俺の手に北山の手が重なった。
えっと思った瞬間、ふんわり北山が微笑んだ。
俺の手を自分の頬に押しつけるように北山の手のひらに力が入る。
「ふじがや…」
舌ったらずに名前を呼ばれ、身体が硬直してしまう。
北山から視線を逸らせずにいると、パチパチと何度か瞬きをし、開いた時と同じように前触れもなくまぶたを閉じた。
糸の切れたあやつり人形みたいに、俺の手に添えられていた北山の手がブランケットの上に落ちる。
え、何これ。
バクバクと心臓がうるさい。
寝ぼけてたの？
ニカとかたまとかと間違えてる？
でも、藤ヶ谷って俺の名前……
訊きたいのに当の本人は夢の中。
あぁもうっ！
「何なの、北山…」
改めて見ると、少しだけ口角が上がっている。
もう…
楽しい夢を見てるんなら、何でもいいよ。
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ひろ(プロフ) - 感想になるか分からないですが、、、Dawnのお話を読んで、彼らのの解散にひどく傷ついていたこと、見ないふりをしてきた自分に気付かされました。大丈夫なふりを、していたなって。ずっと聴けなかった彼らの曲を改めて聴きたいと思うきっかけになりました。 (2021年5月27日 20時) (
レス) id: 88642e1cbe (このIDを非表示/違反報告)
きたの(プロフ) - 「眠れぬ…」を読んでいたらもっともっとumeno様のお話を欲してここに帰ってきて思ったのですが「イエスだったら目を閉じて」と言いながら瞼にキスを落とすFさんにクラクラしてもうそのページだけで何回も読み返して次に進めなくなっております笑。またお邪魔致します。 (2019年4月4日 18時) (レス) id: 0439536464 (このIDを非表示/違反報告)
白雪(プロフ) - 和歌の世界を含ませた藤北のお話に自然に涙が出ました。素敵です…有り難うございました（ ; ; ）このお話に出会えてよかった (2018年7月9日 17時) (レス) id: 9a25a9284f (このIDを非表示/違反報告)
umeno(プロフ) - きたのさん» きたのさん、コメありがとうございます。突発的な横北を気に入って頂けて良かったです。落ちついてるふたりでしたね笑 裏設定として次の日のカレーうどんはＫさん寝坊でＹさんが作り、自分が作るより美味しいとＫさんが拗ねるというのがありました(^ ^) (2017年7月22日 18時) (レス) id: 5f3e9630aa (このIDを非表示/違反報告)
きたの(プロフ) - 一度しか投票出来ないのが悔しいくらいに心の中で星押させてもらってます！横北素敵ですね。お互いを気遣いながら恋をする大人なふたりにキュンとしました！横尾さんからみる上目遣いの北山さんの可愛さは格別だろうな〜。素敵な小説ありがとうございました。 (2017年7月22日 15時) (レス) id: 401ec2c6d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：umeno
| 作成日時：2016年11月2日 17時
