Dawn ページ13
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新年を迎えて、最初のグループでの仕事。
冠番組のロケ。しかもこのクソ寒い時期に外ロケ。
集合場所に着いたのは、まだ暗く、朝というより夜だった。
ロケバスに乗り込んで、めいめい好きな場所に座った。
俺はわたの隣。
その2つ後ろに宮田とたま。
通路挟んで斜め後ろにニカと千賀。
一番最後に乗り込んできた北山は、いつも通りニカ千の近くに行くのかと思ったら、サッと車内を見渡し、俺とわたの座ってる席とは通路を挟んで斜め3つ前の席にひとりで座った。
通路側に座ってる俺から通路側に座ってる北山の頭がチラチラ見える。
いつもは窓側に座るくせに、わざわざ通路側に座るのは近寄られたくないサイン。
もぞもぞと動いて、おもむろにパーカーのフードを被った。
いつもは何処でだって誰にだって無防備に寝顔をさらしてるくせに、わざわざフードを被るのは構われたくないサイン。
きっとフードの中には念入りにイヤフォンを装着してるんだろう。
それは、話しかけられたくないサイン。
ロケバスは静かに走り出した。
眠らない街が記憶をリセットするように、一瞬だけ目を閉じて息をひそめる。
夜でもない朝でもない、夜明け前。
窓の外は深い深い海の底、深海のように静かな色が横たわる。
走り出してしばらくは話し声が響いていた車内も集合が早かったのもあり、すぐに静かになった。
隣に座る渉も うとうととし始めてる。
そんな車内でひとり、落ち着く体勢が見つからないのか動き続けるあいつ。
いつもは時間が空けばすぐに寝るくせに。
――― みつ、だいぶショック受けてた。
2016年最後の日。
北山だけじゃない。
みんなそれぞれにショックだったと思う。
俺だって、ショックだった。
でも、ニカとは別の意味ですごく慕っていた北山。
冬が近づくあの日、スタジオの屋上で長い時間、夕暮れを見ていた北山の姿が脳裏に浮かぶ。
あの時も今と同じように、周りを拒否していた。
…どれだけ拒否されても、お前の手、離すつもりないけどな。
「わた」
「…んー?」
「俺、席変わる」
「うん? どこに?」
「あそこ」
まだ寝入りばなだった渉は目をパチパチさせて、俺が指差した方に身を乗り出した。
「あぁ…、結構きてそうだね」
渉も北山との付き合いは長い。
よく見ればわかる違和感で北山の状態がわかったのか、困ったように眉尻を下げ苦笑した。
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ひろ(プロフ) - 感想になるか分からないですが、、、Dawnのお話を読んで、彼らのの解散にひどく傷ついていたこと、見ないふりをしてきた自分に気付かされました。大丈夫なふりを、していたなって。ずっと聴けなかった彼らの曲を改めて聴きたいと思うきっかけになりました。 (2021年5月27日 20時) (レス) id: 88642e1cbe (このIDを非表示/違反報告)
きたの(プロフ) - 「眠れぬ…」を読んでいたらもっともっとumeno様のお話を欲してここに帰ってきて思ったのですが「イエスだったら目を閉じて」と言いながら瞼にキスを落とすFさんにクラクラしてもうそのページだけで何回も読み返して次に進めなくなっております笑。またお邪魔致します。 (2019年4月4日 18時) (レス) id: 0439536464 (このIDを非表示/違反報告)
白雪(プロフ) - 和歌の世界を含ませた藤北のお話に自然に涙が出ました。素敵です…有り難うございました( ; ; )このお話に出会えてよかった (2018年7月9日 17時) (レス) id: 9a25a9284f (このIDを非表示/違反報告)
umeno(プロフ) - きたのさん» きたのさん、コメありがとうございます。突発的な横北を気に入って頂けて良かったです。落ちついてるふたりでしたね笑 裏設定として次の日のカレーうどんはKさん寝坊でYさんが作り、自分が作るより美味しいとKさんが拗ねるというのがありました(^ ^) (2017年7月22日 18時) (レス) id: 5f3e9630aa (このIDを非表示/違反報告)
きたの(プロフ) - 一度しか投票出来ないのが悔しいくらいに心の中で星押させてもらってます!横北素敵ですね。お互いを気遣いながら恋をする大人なふたりにキュンとしました!横尾さんからみる上目遣いの北山さんの可愛さは格別だろうな〜。素敵な小説ありがとうございました。 (2017年7月22日 15時) (レス) id: 401ec2c6d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:umeno | 作成日時:2016年11月2日 17時