評価100突破記念・続 ページ24
子ども。こんな時間に、なんで。酔った頭はそればかりが渦巻いて、まじまじとぶつかった衝撃で倒れた子供を見てしまう。
『え、その、大丈夫？…ですか』
「痛い。……よいしょ、と」
『そ、そうだよね、ごめんね』
オブラートに包むことなく、痛いと言われ思わずどもる。女とはいえ成人した大人と衝突したのだ、痛くないわけがない。鞄からハンカチを取り出し、差し出した手が、何故か止まってしまった。
この国じゃ珍しい金髪に、真っ赤な目。すぐに外国人だと分かるほど、私の脳は働いてきてるようだ。一瞬女の子だと思ったが、どうやら男の子。ショートパンツから出た細い足に、靴下はガーターで止めてあることから育ちの良さが見える。ますます、疑問に思った。
なんでこんな夜遅くに子供が、しかも全速力でこんな人気のない道を走っていたのだろうか。
『お母さんとお父さんは？』
「…………」
『迷子、じゃないよね？』
少年は何も答えない。小さな唇をきゅっと結んだまま、吟味するかのように私を見ている。まるで私の質問が聞こえてないみたいに。
「お前、名前は？」
『へっ、高梨Aです。えっと…』
「A、しばらく俺を匿ってくれ」
『ん？』
今、少年の口から何か聞こえたような。え、匿ってくれ？そう言ったよね、今。私、犯罪には手を染めたくないんですけど？
『普通に無理……こういう時って110番？』
「警察はやだ」
警察はやだって怪しすぎるでしょ。ますます無理なんですけど。早く家に帰って寝たいんですけど！
「もし、俺がマフィアの子息だったらどうする？もし敵マフィアに狙われてるとして、保護すれば礼金が弾むゾ」
子供の戯れ言だ、と適当に促して、警察に預ければよかったのに。その仮説だとその方がマフィアだとかよく知らない組織と関わらないからより安全なのに。
その時の私は疲れていたのだ。単純に。彼氏に振られ、酒を飲み飯を食べ、眠気もMAXに達し、心身ともに疲労困憊していたのだ。
だから、そんな子供が思いつくような出任せを信じて首を縦に振ってしまったんだ。
ふわふわとした感覚に身を包まれる。白い空間に自分が浮いている。周りには何もない、真っ白な世界だ。
「A」
名前を呼ぶのは誰？きらきら輝く絹のような髪に、怖いくらい妖艶な赤の瞳。雪のような真っ白い肌をした少年が私の名前を呼んでいる。
まるで天使みたい。だってこんなに綺麗だ。小さな手が私の頬を撫で、そして＿＿＿＿
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 483人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らっこ(プロフ) - あっ、無理だったら大丈夫です。無理強いしたい訳では無いので (2021年2月23日 20時) (
レス) id: d0b1fc0c65 (このIDを非表示/違反報告)
らっこ(プロフ) - とってもとっても本当に凄く面白かったです。笑いが我慢できませんでした。面白くて面白くて面白すぎて面白すぎたので腹筋崩壊免れませんでした。腹筋崩壊は定められた運命でした。出来たら、出来たらでいいので更新していただきたいです… (2021年2月23日 20時) (レス) id: d0b1fc0c65 (このIDを非表示/違反報告)
マリイラ - やっばいっす…腹筋崩壊しましたあざました。ちょっくら逝ってきますw (2020年7月26日 19時) (レス) id: b495665938 (このIDを非表示/違反報告)
田中 - いろいろ頭おかしかったですね((鼻ほじ))急にすみませんでした。とても面白くて、面白かったです。では、失礼しました。 (2019年5月1日 23時) (レス) id: 121043d8d8 (このIDを非表示/違反報告)
田中 - 突然の支離滅裂な発言で申し訳ありません。次のお話が楽しみでウキウキしてたら、『終わり』って出て悲シマでした…。もしも…もしも…！更新する機会があるのでしたら更新していただきたい所存です。 (2019年5月1日 23時) (レス) id: 121043d8d8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あろま | 作成日時：2018年1月29日 0時
