カクテル 26 ページ26
.那須視点
「かんぱーいっ!」
「今日は飲むぞぉ!!!」
かちゃん、と前の人とグラスを合わせれば場の空気が一気に緩やかなものになる。
前と同じメンバー、と聞いていた俺はAちゃんの姿を探す。連絡も返してくれない、バイト先で待っていても男の人に追い払われる。
そんな毎日を過ごしていた俺にとってこの飲み会が最後のチャンスだ。
無理にでも引き止めて、俺と付き合ってくださいって。
そんな意気込みのお酒をイッキ。
…う、わっ。
グラスから口を離しもう一度辺りを見渡すと、遠くにいた栗原さんが隣に座っていた。
栗原さんと一緒にいないって事はまだ来てないのか…
「おい那須てめぇ」
…な。
「…栗原さん?」
「なにA泣かしてんだよぉ!その気にさせるだけさせて、気持ち悪いってどういう了見!?あんたも付き合う前にしたくせに!」
もう酔っているのか、
顔を真っ赤にして俺の胸ぐらを掴んだ栗原さんに落ち着いて、と声をかけるとうるさい!と怒鳴られた。
ていうか、気持ち悪いって、
「…Aの事中途半端に相手して、傷付けて放りっぱなしにするなら最初から出てこないでよ、」
「待ってください、俺は本気で…」
本気だから、俺も傷付いて、きつい事を言ってしまった。
気持ち悪いなんて思うわけないのに。浮所ともしてるんだ、って考えたら無性にむしゃくしゃして。
好きって気持ちに嘘はないのに。
一日たりとも、あの日のAちゃんの泣き顔を忘れたことなんてない。
「…本気って言うなら、行動で示しなさいよ」
栗原さんが指を差した方を見ると、Aちゃんが呆然とこちらを見つめていた。
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Mappy(プロフ) - 最後の場面とっても素敵ですね! 思わず二度読んでしまいました (2020年3月21日 23時) (レス) id: dbbbb4e0c8 (このIDを非表示/違反報告)
pii27(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます!飛貴くんとくっついて欲しいような気もしちゃいます笑! (2019年10月9日 13時) (レス) id: 55d6c8d2d6 (このIDを非表示/違反報告)
まお - 続きが楽しみです! (2019年9月23日 9時) (レス) id: 4581f1bec1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蕎麦リアン | 作成日時:2019年9月21日 20時