お願い 18 ページ18
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「逃げ…、で」
「…、」
…Aさん、いないと思ったらこんな所にいたんだ。
ドアノブに手をかけたまま、身動きが取れない。
だめだ、だめだと思いつつも 俺の耳は声を拾う。
高橋先輩、告白してるのかな。
入りたての俺でも分かるくらい、高橋先輩の好意は見え見えで。元々勝ち目があるなんて思ってもなかったけど、こういう形で知るのはやっぱり悔しい。
サロンの付け方を教えてくれた時に香った甘い香水の匂い。恋愛経験の乏しい俺がそれに釣られてしまうのなんて誰でも想像できること。
引き返そうとドアノブから手を離した時、
足元にあったバケツにぶつかって大きな音が響いた。
…やばい、
そう思った束の間、バックヤードからふたりが出てきてしまった。
「、那須くん?いたの?」
「あ…、今通りかかっただけです」
咄嗟に嘘をついた。
それは、俺自身がやましい事をしていたと自覚しているから。
「ちょっ、バケツにヒビ入ってるじゃん!」
「高橋先輩、それ元からです」
「うそ!まじで?!…店長に言っとかないと」
じゃあね、
高橋先輩はAさんの頭を叩いて店長室へ向かっていった。
Aさんの顔は熱でもあるんじゃないかっていう位真っ赤で。
「…Aさん、戻りましょ?」
俺は気の利いた言葉ひとつ掛けることができない。そして、テスト前最後のバイトを終えた。
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蕎麦リアン(プロフ) - 六ノ神さん» ありがとうございます〜…!嬉しいです(; ;) 次もきゅんきゅんをお届けできるように頑張ります〜! (2019年6月21日 22時) (レス) id: ef034c0120 (このIDを非表示/違反報告)
六ノ神(プロフ) - 小説お疲れ様でした!めちゃめちゃキュンキュンして、面白かったです!他の小説もちょくちょく読ませていただいてます!これからも頑張ってください! (2019年6月21日 19時) (レス) id: b1e03a8962 (このIDを非表示/違反報告)
蕎麦リアン(プロフ) - きょんさん» ありがとうございます〜〜!不憫さを感じ取ってもらえてよかったです(笑) (2019年6月12日 1時) (レス) id: ef034c0120 (このIDを非表示/違反報告)
きょん(プロフ) - 主人公に苦戦してる優斗くんがホントの優斗くんみたいで大好きです!不憫優斗くんサイコ〜! (2019年6月11日 16時) (レス) id: 3f81005494 (このIDを非表示/違反報告)
蕎麦リアン(プロフ) - *AYA*さん» ありがとうございます〜!これからもドキドキしてもらえるように頑張ります、ぜひ最後までお見守りください(笑) (2019年6月2日 2時) (レス) id: ef034c0120 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蕎麦リアン | 作成日時:2019年5月9日 21時