□ 拡声器で愛を叫ぶ【K.Y】

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乗せてくれる人、そう岸優太

通りかかった岸を捕まえて 荷台に飛び乗った。




何故か無言を貫く岸

腰を抓ったりしてみても無反応




｢…｣

｢きーしー｣

｢…｣

｢ゆーうーたー｣

｢ゆっ…｣

｢お、喋った｣



｢、からかうなって｣



｢なんで今日は自転車なの？｣



前会ったときは歩きだったのに、と付け足すと 言いづらそうに 話し出した。





｢朝の占いで、今日のラッキーアイテム自転車だったんだよ｣

｢占い？そういうの信じるタイプなんだ｣

｢…いや、信じないけど。自転車に乗れば 恋愛運アップするって言ってた、から｣




｢実際、Aちゃんに会えたし｣





後ろ姿でも分かる 照れ具合


耳、真っ赤だよ




悔しいけど ちょっとだけ、私も照れてしまった。不覚…。






｢…岸は変わってるね｣


｢なんで？｣


｢私の事、好きなんでしょ？｣


｢…うん。すっげぇ好き｣


｢そんな物好き 久し振りにみた｣







岸の腰に回した手に、力を込め

意外とがっしりとした背中に顔を埋めた




制止の声が聞こえてきたが無視





んー…洗剤の匂いがする。廉や紫耀の香水とは違った自然な香り

不思議と落ち着いてる自分に吃驚だ。


こんな事、廉にもした事ないのに








｢…きし｣


腰に回った手に 岸の大きな手が重なった




数日前とは違って、振り払う気にならなかった

理由は分からない。






…片手運転なのは気になるけど。


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