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「そこ座っといて」
「うん、」
保健室に着くと、先生はいなくて。
独特の消毒液の匂いがつん、と鼻につく。
言われた通り丸椅子に腰掛けてくるくるってまわってみたり。
慣れた手つきで消毒液を出す瑞稀は躊躇うことなくドバっと膝にぶちまけた。
「い、った!!」
「浮所にはもう近付くな」
「…なんで、?」
どうして、瑞稀にそんな事言われなきゃいけないんだろう。
私の事、なんとも思ってないくせに。家族じゃない…って言われたのはちょっと、いやかなりショックだったけど。
脳裏によぎった涼ちゃんが手を振り上げるシーンをかき消すように、首を振った。
「俺らの言うこと聞けないの?」
「どうして制限されなきゃいけないの?なら、怒る前にさっきの事を説明してよ」
「あれは…、」
今までは瑞稀達の言う事は極力聞いてきた。そうすれば、間違いないんだって。
でも、浮所くんの事は納得できない。先に手を挙げたのはそっちでしょ?
絶対に言い負かされるもんか、
瑞稀の目をじっと見つめ返して、返事を待った。
「、俺らの言うこと聞けないなら家出てけば?」
「…本気で言ってるの?」
「…うん、俺は止めないよ」
「あっそ、…分かった。」
頑なに本当の事を言おうとしない瑞稀、
頬を伝う涙をいつもは拭ってくれるのに、私と目を合わせようともしない。
少なくとも、私は皆のこと家族以上に大事な人だって、そう思ってたのに。
ズキズキ痛む足で保健室を出た。
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林檎 - お話とても面白いです!! はしみず担なのでここまで一気読みしちゃいました笑 お話更新して下さるの待ってます!! (2020年10月13日 23時) (レス) id: 3066a90994 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蕎麦リアン | 作成日時:2019年7月24日 19時