23 ページ23
.
「っ、」
「大体、贅沢なんですよ。先輩達は。OBの優斗先輩だってそうだ。…家族でも何でもないんでしょ?なら引っ込んでて下さいよ」
これは、…どういう事なの?
大昇くんの方を見ると、分かりやすく目を逸らされる。そして、浮所くんは私に軽く手招きをした。
曲がり角から一歩出ると、
振り返った瑞稀と涼ちゃんの目が私を捉える。すっと目が見開かれて、慌ててるのがとって分かる。
「A、いつからいたの」
「…ふざけんな、って所から。勝手に聞いて、ごめん」
「A…、」
私に触れようと伸びてきた涼ちゃんの手を、咄嗟に避ける。
…あれ、どうして、こんなに怖いんだろう。手の甲に血がついてるから?…それとも、家族じゃないって言われたから?
「、なんで避けんだよ」
「分かんない、…涼ちゃんにとって私は、あれだけ一緒にいて、ずうっと一緒に住んでるのに、家族でもなんでもないんだね」
「違うんだよ、ちゃんと聞いて?」
「やだよ。…そんなの、聞きたくない。瑞稀もそう思ってたの?」
「待って、Aは誤解して…」
瑞稀が何かを言おうと口を開いた時、二人三脚の集合がかかる。
浮所くんが起き上がって、ぱんぱんっとホコリを落とした。
「よし、Aちゃん行こっ。」
「うん…浮所くん、ほっぺ大丈夫?涼がごめんね、」
「ううん、いいんだよ。俺が何か気に障ること言っちゃったのかもしれないし…」
「…おい、」
「触んないで!…最低だよ、暴力振るうなんて」
…ああ、やんなっちゃうなあ。
楽しい体育祭のはずなのに、あんなにも楽しみにしていたのに。浮所くんに手を引かれながら、ふたりの顔を振り切るように集合場所のテントへと向かった。
振り返る勇気は、ない。
.
1851人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
林檎 - お話とても面白いです!! はしみず担なのでここまで一気読みしちゃいました笑 お話更新して下さるの待ってます!! (2020年10月13日 23時) (レス) id: 3066a90994 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:蕎麦リアン | 作成日時:2019年7月24日 19時