月の上の景色 [短編集]

: 意地悪 ＜ t.s ページ14

.




ﾋﾟﾋﾟﾋﾞｯ…ﾋﾟﾋﾟｯ





静かな部屋に鳴り響く無機質な機械音。
私は顔を顰めながら 目を開いた。




『 ん〜… 寒っ 』



目覚ましを止めるために 腕を伸ばすと
隣でモゾモゾと動く貴郁くん。



『 あ、ごめん起こした？ 』



「 … 」



なんだ、まだ寝てたのか。
そう思い目覚まし時計に再び手を伸ばすと
突然腕を掴まれて 気づけば彼の腕の中にいた。



『 …顔、近い 』



「 んーA可愛いから全然平気 むしろ歓迎… 」




そういう事じゃなくて… 普通に恥ずかしい。
この人に恥という概念はないのか。



「 顔赤すぎやろ笑 はは、可愛い 」



『 すぐそう言う！…ってほんとに顔熱くなるから..
ちょっとだけ、離れて？ 』




「 無理。絶対離さんから！この腕！ 」




『 む〜、手強い 』




貴郁くんは 基本意地悪。
私の思うことはなんでも見透かすし 痛いとこつく。



「 そんなこと言って…
本当はこうしたかったんやないの？」



また見透かされた。
でもそんなの 恥ずかしすぎて言えるわけが無い。



『 べ、べ別に！？ そんなことないから 』




「 嘘つくのホント下手やな〜 可愛い〜！
ね、キスしていい？ 」




『 いや、どういう流れ！？ 無理無理無理…！
今は無理！ 』




「 え〜 今は無理なんや？ 後でならいいってこと？ 」




『 ああもう分かった！キスしていいから！』




ニヤニヤしながら聞いてくる彼に根負けして
朝はいつも貴郁くんの言うことを聞かざるを得ない




今のところ、0勝5敗。








＊




see さん リクエスト有難うございました！

: 我慢 ＜ m.s→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す