月の上の景色 [短編集]

: いつか ＜ y.k ページ2

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「 Aが大人になったら、結婚しよな 」




あの時、ゆずるくんはそう言って私の前から消えた。
しばらくしてから 引っ越したのだと知った。




中学に上がっても。高校、大学と。
ずっと 好きだった。




その言葉を信じ続けて もう気づけば社会人3年目。
時の流れはあっという間だな、と痛感。



そんな間に ゆずるくんは売れっ子芸人になっていて
どんどん存在も遠く感じてしまっていた。




4月に東京に出てきたって聞いたけど
会えたり、しないかな なんて淡い期待を抱いて。









ﾌﾟﾙﾙﾙ…



お母さん…？ 何かあったのかな







『 ん、もしもしお母さん？ 』



「 A、！ゆずるくん結婚するんやって 」



『 ……どういうこと？ なんでお母さんが
知ってるん？ 』



思考停止って 本当にあるんだって思った。
何も考えられなくなる。頭真っ白。




「 近所の人が 知り合いでね、それで来週結婚式… 」




思わず勢いで電話を切る。
これ以上、 聞きたくない。








何もかも 嫌になった。
私が、勝手に 想ってただけなのに

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