epilogue 6 ページ7
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ふわっとぬるい風が吹いた。
決して短くないスカートが横に緩やかに揺れる。
〜♪
耳に入るのは、気分の良い音楽だけ。
私しかいない、専用のように感じる屋上の空気。
あぁ、なんて有意義な午後なんだろう。
今日は、これからいいことが起こるような予感。
なんて思って、ポケットから昨日から入っている由美恵から貰ったパイン飴があることも思い出して、制服のポケットに手を入れた時だった。
ガチャっ。
屋上のドアが開いた。
誰もいない、私だけの屋上だったので、ちょっとだけ邪魔された気がした。
というか、本当に邪魔された気分。
先生かもしれないと思って、ちょっと身構えた。
するとドアから、背の高い黒髪の男子生徒がにゅっと入ってきた。
「・・・あれ・・・あれって・・・・」
よく覚えている。
綺麗な顔、無表情の彼。
彼は、屋上に入ってきた瞬間に辺りを見渡す。
そして勿論、私と目が合う。
「・・・っチ」
あからさまに嫌な顔と、少し大きめの舌打ち。
彼は常に不機嫌なのだろうか。
相手は覚えてないだろうけど、ファーストコンタクトもなんだか不機嫌そうだった。
私だって、この時間を邪魔されたのに。
早い者勝ちって言葉があるんだよ、この世には。
でもやっぱりちょっと怖くて、私はイヤホンを耳から外すと、ポケットにしまって屋上を出る準備をする。
何か言われても嫌だし、他にもサボりスポットはいくつか知っている。
そちらに移動しようと思った。
でも・・・
「・・・あ」
思いついたような顔と、嫌な声がした。
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シルビア★姉貴 - もし良ければ…合作しませんか?? (2月27日 12時) (レス) id: b720108b83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梅子 | 作成日時:2023年12月28日 16時