epilogue 4 ページ5
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ぶつぶつと文句を言いながら鍵を探すが、やっぱり鍵がない。
こんなことなら、由美恵に送って貰えばよかった。
なんて後悔をしながら、私は鍵を探すのを諦めてバスで帰ろうと自転車置き場を引き返そうと思った時だった。
先ほどの、無礼な男子生徒もちょうど自転車に跨り、発信しようとしている時だった。
ペキンっ。
「・・・?」
「・・・あっ・・・!」
嫌な音がした。
もう、本当に嫌な予感がした音だった。
男子生徒は不思議そうな顔をしながら、足元に目をやる。
ゆっくりと離した足の下には、私の鍵と無惨な姿で現れた犬のクロスケ。
胴体と首がなき別れになっている。
「・・・く、クロスケ・・・!」
死んどるー!!!!!
私は急いで男子生徒の足元に駆け寄って、クロスケと鍵を手に取った。
せっかくおじいちゃんがくれた、大事な大事なキーホルだーだったのに。
文句の一つでも言わないと気が済まないと思い、キッと男子生徒を睨みつけようと思って見上げたが、
男子生徒は悪びれることもなく、ただ無言で私を見下ろしていた。
「・・・・っ」
もういいもん。
おじいちゃんに今度会ったら謝っておこう。
文句も言えない自分の小ささに情けなく感じなら、そのまま私はクロスケを持っていたハンカチに包んだ。
何も言わない相手をよそに、そのまま拾った鍵で自転車のロックを開けると、跨りその場を去った。
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シルビア★姉貴 - もし良ければ…合作しませんか?? (2月27日 12時) (レス) id: b720108b83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梅子 | 作成日時:2023年12月28日 16時