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「齋籐梨乃。よろしく」
なーんだ。あの女転入生だったんだ。
だから誰も知らなかったんだな、納得。

「じゃあ、席は国見の隣ね」
「……ここだけど」
英がぶっきらぼうにそういうと、齋籐さんは無表情で席に座った。

「じゃ、これでホームルーム終わりね。号令」
「きりーつ」

……なんか面倒なことになりそう。


早速女子に囲まれてる齋籐さん。
質問攻めじゃん。

「齋籐さんって何処の中学から来たのー?」
「……烏野」
「へー、あっ、部活入る予定ある?テニス部どう?」
「バレー部入るから」
「そうなんだー残念」

……何が「バレー部入るから」だ。うっざ。
「バレー部と言えばAだよねー」
「えっ?あ、そう……?」

急に話振られてびっくりした……。

「だってマネでしょー?あの男バレの!羨ましいわ〜」
「あはは、そうかな」
「そーだよー。まぁ男バスも良いけどぉ〜。やっぱ及川さんとか男バレには負けるよねー」
「ねー」


……ま、あんたたちは無理でしょーね。
だって私みたいに可愛くないし。
なんて言えないから。取りあえず愛想笑いで過ごす。


「あ、そうだ。えーと、齋籐さん!私早乙女A。同じ男バレのマネージャー同士宜しくね」
営業スマイルで、握手を求めて差し出す手。
まあ八方美人って便利だよね。誰にも嫌われずに済むし。


「……」
齋籐さんは私をキッと睨むと、席を立って何処かへ行ってしまった。
「なんなの、超感じ悪い!」
「ほんと、Aの事無視するなんて」
「Aちゃん睨まれてたけど大丈夫?」

みんな私を心配してる。
さいこーすぎでしょ。
「大丈夫だよ、私の何かが気に障っただけだと思うし……」
「いやいや、優しすぎでしょ」
「ほんとそれ」

いい子ちゃんしとけば、後は勝手にみんなが嫌ってくれる。
なんて単純な世界。

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作者名:まる | 作成日時:2017年11月19日 21時

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