2 ページ2
「齋籐梨乃。よろしく」
なーんだ。あの女転入生だったんだ。
だから誰も知らなかったんだな、納得。
「じゃあ、席は国見の隣ね」
「……ここだけど」
英がぶっきらぼうにそういうと、齋籐さんは無表情で席に座った。
「じゃ、これでホームルーム終わりね。号令」
「きりーつ」
……なんか面倒なことになりそう。
早速女子に囲まれてる齋籐さん。
質問攻めじゃん。
「齋籐さんって何処の中学から来たのー?」
「……烏野」
「へー、あっ、部活入る予定ある?テニス部どう?」
「バレー部入るから」
「そうなんだー残念」
……何が「バレー部入るから」だ。うっざ。
「バレー部と言えばAだよねー」
「えっ?あ、そう……?」
急に話振られてびっくりした……。
「だってマネでしょー?あの男バレの!羨ましいわ〜」
「あはは、そうかな」
「そーだよー。まぁ男バスも良いけどぉ〜。やっぱ及川さんとか男バレには負けるよねー」
「ねー」
……ま、あんたたちは無理でしょーね。
だって私みたいに可愛くないし。
なんて言えないから。取りあえず愛想笑いで過ごす。
「あ、そうだ。えーと、齋籐さん!私早乙女A。同じ男バレのマネージャー同士宜しくね」
営業スマイルで、握手を求めて差し出す手。
まあ八方美人って便利だよね。誰にも嫌われずに済むし。
「……」
齋籐さんは私をキッと睨むと、席を立って何処かへ行ってしまった。
「なんなの、超感じ悪い!」
「ほんと、Aの事無視するなんて」
「Aちゃん睨まれてたけど大丈夫?」
みんな私を心配してる。
さいこーすぎでしょ。
「大丈夫だよ、私の何かが気に障っただけだと思うし……」
「いやいや、優しすぎでしょ」
「ほんとそれ」
いい子ちゃんしとけば、後は勝手にみんなが嫌ってくれる。
なんて単純な世界。
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まる | 作成日時:2017年11月19日 21時